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第111話 ウィリス・フラン・ロイエンバーム2
「俺もお前のことが好きだ。……と言ったら、どうする?」
いきなり告白されて、ハルは動揺とともに少し身を引いた。転生者の可能性が高いウィリスが何を考えているのか、用心しなければ呑まれてしまう、と自戒する。
「な、なんのつもりだ。揶揄ってるのか?」
「そうじゃなくて、本気なんだが」
ウィリスはため息をつくと、一向に顔を上げようとしないハルに焦れたのか、話題を変えてきた。
「仮のつがいの件だが、俺は正式なものに更新してもいいと思ってる。お前の気の済むようにしてくれ。もっと言うなら、お前のリストの、一番上に載せてくれてもいい」
「え……っ?」
「やっと顔を上げたな」
刹那、金色の双眸がハルの碧眼と交差して、ピコン、とキスを問うダイアログが出た。
「ハル、キスしていいか……?」
「え……?」
「お前のこの、」
言いながら、ウィリスの指が伸びてきて、ハルの下唇をそっと歪ませる。キスを問うダイアログが点滅する中、ウィリスの柔らかな指が伸びてきて、触れる。
「桜色の唇に、くちづけたい。今」
「い、いま……?」
「今」
「ど、どう、して……」
「したいからって理由じゃ駄目か?」
そういえば、ララの告白を断る時に、心に決めたひとり以外、みたいな台詞を吐いたことを思い出した。ウィリスもそれは聞いていたわけで、あの流れからいけば当然ウィリス自身のことだと思われても、誤魔化せない。
ハルは迷った挙句、視界の端で点滅を繰り返すダイアログの、初めて「はい」を選択した。
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