111 / 179

第111話 ウィリス・フラン・ロイエンバーム2

「俺もお前のことが好きだ。……と言ったら、どうする?」  いきなり告白されて、ハルは動揺とともに少し身を引いた。転生者の可能性が高いウィリスが何を考えているのか、用心しなければ呑まれてしまう、と自戒する。 「な、なんのつもりだ。揶揄ってるのか?」 「そうじゃなくて、本気なんだが」  ウィリスはため息をつくと、一向に顔を上げようとしないハルに焦れたのか、話題を変えてきた。 「仮のつがいの件だが、俺は正式なものに更新してもいいと思ってる。お前の気の済むようにしてくれ。もっと言うなら、お前のリストの、一番上に載せてくれてもいい」 「え……っ?」 「やっと顔を上げたな」  刹那、金色の双眸がハルの碧眼と交差して、ピコン、とキスを問うダイアログが出た。 「ハル、キスしていいか……?」 「え……?」 「お前のこの、」  言いながら、ウィリスの指が伸びてきて、ハルの下唇をそっと歪ませる。キスを問うダイアログが点滅する中、ウィリスの柔らかな指が伸びてきて、触れる。 「桜色の唇に、くちづけたい。今」 「い、いま……?」 「今」 「ど、どう、して……」 「したいからって理由じゃ駄目か?」  そういえば、ララの告白を断る時に、心に決めたひとり以外、みたいな台詞を吐いたことを思い出した。ウィリスもそれは聞いていたわけで、あの流れからいけば当然ウィリス自身のことだと思われても、誤魔化せない。  ハルは迷った挙句、視界の端で点滅を繰り返すダイアログの、初めて「はい」を選択した。

ともだちにシェアしよう!