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第114話 ウィリス・フラン・ロイエンバーム5
「ら、め、発情、しちゃ……っんぅ」
情熱的に舌を絡められ、吸われて、思わず頭を離そうとすると、後頭部の髪に指を差し入れられて止められる。顎に添わせた指が口を開くように置かれ、どちらの涎かわからなくなるほど、甘い交歓が行われる。
(どうしよう……好き、だ。おれ、ウィリスのことが、……っ)
好きだという想いが、走り出してしまう。
今まで誤魔化していた気持ちが、どんどん押し流されるようにして、ウィリスに向かいはじめる。
もう、止められない──。
「はぁ、んっ……ウィリス、ふは……っ、ん」
仕舞いには、ハルの方から求めるように舌を追いかけていた。
ぢゅっ、と音をさせて離れていったそれを、ずっと追ってしまい、途中で我に返ったハルが大層気まずい思いでついばむのを止めると、ウィリスが名前を呼んだ。
「ハル」
「! な、何……?」
今、自分は変な顔をしていないだろうか。
どこかおかしな態度を取っていないだろうか。
恥ずかしさが先に立ち、身体を緊張させると、ウィリスはそっとハルの髪を梳いて、年を押すように言った。
「俺の名前をお前のリストの、一番上に入れてくれ。俺以外に名前は、入れなくていい」
「え……?」
「おい、まさか、それとも「今のは遊びです」って言い出すんじゃないだろうな?」
ぎゅ、と眉を顰めたウィリスが凄むのを、ハルは慌てて首を振って宥めた。ハルだって、ウィリスがリストの一番にあれば、それほど心強いことはないのだ。
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