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第115話 ウィリス・フラン・ロイエンバーム6
「も、もちろん違うよ。でも、いいの……?」
それでも恐るおそる尋ねると、ウィリスは首を少し傾げて、後頭部を掻いた。
「いいも何も、俺はお前のことが好きだ。前にも言ったはずだが、覚えてないかもしれないな。お前、あの頃は見栄張るのに必死みたいだったから」
「み……そりゃ、オメガだし、リストは長ければ長いほどいいと思ってたから……、しょうがないだろ」
「今からは、もう一行だけでいい。ウィリス・フラン・ロイエンバームとだけ、書いておいてくれ」
「ま、舞い上がるようなこと言うなよ」
信じられなかった。ウィリスが、ハルを好いてくれるなんて、もしこれが夢だとしたら、永遠に覚めないでいてほしいぐらい、胸がいっぱいになる。
「こんなんでお前が喜ぶなら、安いもんだ。ララもトーリスも、その点は納得しているだろうから、心配するな。その他大勢の周囲に関しても、これから説得していく」
夢の中じゃないことを、ウィリスがひとつずつ言及してくれることで、ハルはじわじわと感じることができる。
そして、これが現実なら、この機にウィリスのことをもっと知りたい、と思ってしまう。
「なぁ、きみは……いつからおれを、その……」
「性格が悪すぎて放っておいたらやばいと思ったのは、洗濯大会の前後からだな」
「な、なんだよ、それ……っ」
「お茶会でララをさらっていった時は、その手を握っているのが何で俺じゃないのか、苛々していた。お前がモーリジィの奴に捕まって、尻を打たれそうになっているのを見た時は、半殺しにしてやろうかと」
「ちょっ、そんな物騒なこと、考えてたのかよ……っ」
慌ててウィリスの方へ乗り出すと、すっと伸ばされた指がハルの黄金色の髪を一房、取った。額に額を付けられ、囁くように言われる。
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