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第121話 『放課後お茶会クラブ』設立4

「どうしてパリス先生に襲われかけたことを黙ってた?」 「あ……」 「おい、まさか忘れてたって言うんじゃないだろうな?」 「ごめん。でも、未遂だったし、トーリスが助けてくれたから……」  正直、先のことを考え過ぎて、パリスの件を忘れていた。誠実さのポイントが、マイナスになるな、とハルは思ったが、もうそれもいいかな、という気持ちになっていた。  ウィリスが転生者であるとしても、ララかハルのどちらかを究極の一択で切り捨てねばならない状態に陥りさえしなければ、ハルの手も、ララの手も、取ってくれるような気がしていた。甘い夢を見ているだけかもしれない。でも、嘘でもウィリスのことを信じたいと思ってしまうのは、事実だ。 「悪かったよ。これからはちゃんと言う」 「約束だぞ」  ハルが頷くと、ウィリスは、渡された『放課後お茶会クラブ』新設に関する申請書を、教職員棟まで持っていくために背を向けた。

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