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第122話 秘密の招待客1

 ウィリスが夜の見回りに出る頃合いを見計らい、ハルはモーリジィを部屋へと呼んだ。『放課後お茶会クラブ』に招く旨を伝え、アルファとベータとオメガが相互に親しくなる会だと説明すると、モーリジィは「どう親しくなるんだか」と下世話な想像をしたのだろう、笑いながら快諾した。  パリスが顧問であることは念のために伏せたが、ハル以外の主催者の名前は公表し、招待客についても詳らかにする。最後に規約に同意のサインをもらう旨を説明し、「少し外しますけど、大丈夫ですよね?」と部屋から出ることを示唆すると、モーリジィは昏い笑みを浮かべた。 「問題ない。どこへでも行け」  モーリジィが手を振ってハルを追い出すさまを見て、ハルは目的どおり、一度トイレへ行って戻ってきた。半分開いているドアをノックすると、モーリジィがサインを書き終わり、顔を上げたところだった。 「そら、これでいいだろ」 「ありがとうございます、モーリジィ先輩」  ハルは丁寧に礼を述べると、サインされた紙の下部分を切り取り、モーリジィに渡した。 「当日の招待券になります。ご持参ください」 「ふん」  モーリジィは懐に招待券を仕舞い、少し鼻を鳴らした。 「こんな匂いの強いところにいて、よく仮とはいえお前のつがいは平気だな。それとも毎晩、やりまくりか?」  確かにここ毎晩、ウィリスとは、挿入がないとはいえ、そういう行為をしていた。図星を指されるなんて、まだ脇が甘いな、とハルは作り笑いをしながら思った。

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