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第124話 『放課後お茶会クラブ』1
数日後の放課後に、会議室を借り切って『放課後お茶会クラブ』の発足式が行われた。
ハルをはじめとするお茶会クラブのコアメンバーであるロイエンバーム兄弟とララ、それに先日ハルの家に招いた三年生の先輩方八名、そして顧問を引き受けてくれたパリスと、スペシャルゲストとしてモーリジィが参加した。
会がはじまる直前まで、すっぽかされるのではないかとヒヤヒヤしていたハルだったが、モーリジィは時間ちょうどに現れると、面白くなさそうな顔で「きてやったぞ」と言わんばかりに席に着いた。
モーリジィの出現に青くなった三年生たちだったが、マイカップに勧められた紅茶を大人しく受け取るモーリジィの様子を見て、下手に刺激すまいと各々がカップの底へと視線を落とした。
クッキーやスコーン、一口大のカップケーキ、それに紅茶にミルクと砂糖。婦女子の好むものばかりが取り揃えられたお茶会には、二つだけ異質なものが混じっていた。
梅干しと昆布茶である。
ハルが実家から取り寄せたそれは、独特の匂いと味がする。経験済みの三年生諸氏は顔色を青から白に変えたが、ハルが個人的に口に入れるために置いてあるだけだとがわかると、胸をなでおろし、ぎこちない笑顔を見せた。
「みなさん、紅茶もクッキーも行き渡りましたね。どうぞご自由に召し上がってください」
発起人のハルが発足を宣言すると、彼らはいそいそとティースタンドへ群がりはじめた。
「おれは昆布茶に梅干しを入れます。これはとっておきなので、モーリジィ先輩もどうですか?」
ハルがモーリジィに話題を振ると、ウィリスが不機嫌な顔をした。だまし討ちに近い形で新クラブ創設の片棒を担がされたわけだから、当然だ。
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