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第125話 『放課後お茶会クラブ』2

「結構だ。何だ? そのしわくちゃでまずそうな……赤い塊は」 「いらないんですか? おれとお揃いになるかと思ったのに、残念です」  モーリジィは特別扱いされて上機嫌のままクッキーを八重歯で噛み砕いた。ロイエンバーム兄弟の、特にウィリスの不本意そうな表情を見て、溜飲が下がったのだろうとハルは推測する。 「俺にも梅干しをくれないか? ハル」 「嫌だよ。これは俺専用だから、ウィリスにはあげないよ。その代わり、きみは大人しくこの昆布茶でも飲むといい」  ハルが先ほどからモーリジィに媚を売っているのを見せられて、ウィリスのこめかみがわずかに反応する。 「お前……あとで覚えてろよ」  二杯目のおかわりを仄めかすハルに、ウィリスは本気で臍を曲げてしまったようだった。  しかし、思い思いに紅茶を飲みながら、お菓子に手を出す者たちの間で、次第に緊張を孕んだ空気が和み出す。  場が和やかな雰囲気になり、温まってきた頃を見計らい、ハルは右隣りで拗ねているウィリスへと、おもむろに水を向けた。 「ところでウィリス、きみ、転生者だろ?」 「っ」  梅昆布茶を優雅に飲みながら、ハルが疑念を口にすると、ウィリスはぴたりとカップを持った手を止めた。  天気の話でもするように話題を振られたウィリス以外の者たちは、モーリジィやパリスも含め、ハルの言葉の意味がわからない顔でぽかんとしている。  ひとりウィリスだけが、飲み干したカップをテーブルの上へ置き、ハルへと向き直った。 「どうしてわかった」  低い声でハルを睨む。その視線を受け流し、ハルは哀しみに胸が侵食されるのを感じた。

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