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第127話 『放課後お茶会クラブ』4
「ごめん、ウィリス……。でもこれは、おれがちゃんと決着をつけなきゃいけないんだ」
ウィリスの眸に煌めいていた猜疑の色に、胸が潰れる想いがした。ハルはきつく目を閉じ気持ちを切り替えると、テーブルの対角線上にいるモーリジィと相対した。
「……テメェ、どうして立っていられる?」
モーリジィは鼻の頭にしわを寄せて唸った。
「どうして倒れない!」
脂汗をかいたモーリジィに、ハルは小首を傾げた。
「何のことでしょう?」
「ふざけるな!」
しかし、モーリジィの怒鳴り声には、ハル以外はもう誰も反応しなくなっていた。
「どんな細工をしたか知らないが、このまま無事にこの部屋を出られると思うなよ、ハル」
お茶会に招待された客たちは、顧問のパリスとハルとモーリジィを除き、全員昏睡状態だった。パリスがカチリとカップをソーサーに置いた音がして、「どうしたことだ、これは」と、すっとぼける。
「起きている者も三人きりになったことだし、そろそろ謎解きをしましょうか? モーリジィ先輩」
ハルは両手の指先を合わせて、悪役顏をつくった。その声に、パリスも視線を向けてくる。
「謎解き?」
「なぜお茶を飲んだ者たちが残らず昏倒したにもかかわらず、おれが立っていられるのか、興味がありませんか?」
ハルは椅子に深く腰掛け、足を組み直し、モーリジィに問うた。
本当なら、全員昏倒させて、力の入らなくなったララとハルを食う予定だったはずだ。パリスはその分け前に預かるつもりだったのだろう。この場でハルに意識があり、倒れないことは、ふたりにとって想定外の出来事のはずだった。
「……返答次第では、生涯取れない歯型を付けてやる」
地の底を這うような声で、モーリジィが犬歯を剥き出し威嚇した。ハルは自分を鼓舞するために、わざと「あっははは!」と声をあげて笑った。
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