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第129話 『放課後お茶会クラブ』6

 ハルの言葉に、モーリジィは沈黙したが、しばらく考えたあとで「無理だな」と笑った。 「この事態をつくり出すのに、お前が協力したのだと、俺は証言するぞ。証拠もある。お前も同じ穴の狢なんだよ」 「証拠? どこに証拠があるんです?」 「お前が俺に痺れ薬を渡したから、俺は悪戯をする気になった。お前に唆されたから、俺はその気になって復讐劇を演じることにした。お前に誘われて手を出したんだ。全部裏で糸を引いているのはお前だ、ハル。俺は命じられたとおりに動くよう、唆されただけだ」 「アルファのくせに、オメガの命令に従ったことにするんですか?」 「するんじゃない、そうなんだ。お前は特別なオメガだ、ハル。アルファを簡単にラット状態に堕とす。パリス先生が言っていとおり、イロモノだ」  パリスに向かって顎をしゃくったモーリジィが、「俺は、オメガの誘淫フェロモンに巻き込まれただけだ」と言った。 「どうあってもおれたちと和解しないつもりですか?」 「言うまでもないな。共犯者の言い逃れなんて、誰も信じない。オメガの喋ることなんて、誰が本気にする? 俺のようなアルファと、お前のようなオメガ、どちらを守る方が学院側にとって利があるか、考えなくてもわかるはずだ」 「自信満々ですね」  ハルが身じろぎすると、モーリジィは椅子からゆっくりと立ち上がった。 「わかったら、テーブルに乗って足を開くんだな」  モーリジィはネクタイを片手で緩めると、ハルに向かって命令した。その牙は興奮の証に鋭く伸びている。あれでうなじを噛まれたら、ひとたまりもないだろう。その威力を知るモーリジィは、ニタリと笑んだ。 「自分から俺に足を開いてみせるなら、少しは優しくしてやってもいいぜ?」  言って、テーブルに両手をつき、少し屈む。もしハルがテーブルに乗ったら、その位置からなら開いた足の間がよく見えるだろうと思わされる場所だった。

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