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第136話 『放課後お茶会クラブ』13
「うぅ……すっぱ、いっ……」
「すっぱ……っ」
トーリスとララを先に起こし、上級生の口の中にも片っ端から梅干しを入れて回る。
「噛んでください! 吐き出しちゃ駄目です! 中和剤ですから……!」
ハルがテーブルの間を回っているうちに、ウィリスとモーリジィは死闘を演じていた。ファイティングポーズを取り、拳を繰り出すモーリジィに、体格では明らかにかなわないはずのウィリスが、どうにか善戦している。
だが、痺れ薬が一度効いた身体は、まだ感覚がちゃんと戻っていないのかもしれない。このままではジリ貧だ、と思った時、細長い叫び声を上げて、後ろから椅子を持った人物が、ウィリスに向かい躍りかかった。
「うわぁぁぁ!」
パリスが自分の座っていた椅子の背もたれ部分を持ち、ウィリスの身体に向かって振り下ろす。
「やめろ! パリス先生!」
不意打ちには何とか耐えたものの、体勢を崩したウィリスにすかさずモーリジィの猛攻が及ぶ。
バシッ、バシッ、と鋭い音がして、ウィリスの腕に拳が当たった。防戦一方になるウィリスを援護しようと、ハルがパリスを止めに入ると、復活したトーリスとララが続くが、パリスは自棄になったらしく、所かまわず暴れ回り、手に負えない錯乱状態になり、ついには自家中毒に陥ったのか、泡を吹いて倒れてしまった。
「ウィリス!」
パリスの乱入でリズムを崩されたウィリスは、防戦一方になり、崩れかけていた。
「くるな、ハル! トーリス! みんなを連れて逃げろ!」
「くそがっ!」
モーリジィが、そうはさせじとウィリスに躍りかかる。指示を聞いたトーリスが、ララとハルの手を取ってドアへと向かうが、あと一歩のところで身体をスライドさせたモーリジィに体当たりされ、三人して床に崩れ落ちた。
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