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第150話 顛末4

「そうじゃ……ない、違う、ウィリス」  本当に、ウィリスが何者なのか、ハルは知らない。考えてもわからなかった。 「じゃ、なぜ……? 本当は卒業する時に答えをもらう気だったが、気が変わった。今、答えてくれ。俺とつがう気、ちゃんとあるか? ハル……」 「ウィリス……」  ハルはこの期に及んで、前世のウィリスに踏み込むのが怖かった。前世からの因縁という話をしていたウィリスの正体が、もし自分がこれまで袖にして貶めてきた者たちの誰かだったら、ハルは自分のしてきたことを許せなくなってしまう。 「きみは……おれの前世が大庭遥だと知って、傷付いたんじゃないか……?」  とうとうハルは、それまで飲み込んでいた大きな疑問をウィリスにぶつけた。 「どういう意味だ?」 「大庭遥はろくでもない人間だった。アルファ同士を争わせて悦に入っていたハル・ロゼニウム・ガーディナーとそう変わらない。近づく人間を利用して、用済みになったら躊躇わず捨てていた。……今になってそれがわかるなんて間抜けな話だけれど、もしおれが前世で振ってきた誰かだとしたら、中には自殺未遂をした人もいた、と聞いている。だとしたら、き、きみこそ、おれに幻滅して……」 「ちょっと待て。お前、俺の前世を誰だと思ってるんだ?」  慌ててウィリスがハルの言葉を遮った。その金色の眸に動揺が映っている。はっきりさせたくない、と祈ってきたが、平行線でいることをウィリスは許してくれなそうだった。 「わから、ない。わからないけど……、前世におれが振った、誰かじゃないのか……?」 「違う」  恐るおそる問うと、ウィリスはハルの言葉を強く否定した。もどかしげに赤髪をガシガシとかき回し、ハルの碧眼を真っ直ぐ捉える。

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