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第151話 顛末5

「最初に言っておくが、俺は、転生後、一度もララとくっつきたいと思ったことはない。そういう運命にあるのかもしれないとぼんやり考えたことはあるが、その前にトーリスがあいつに惚れたからな。横恋慕する気なんて、さらさらなかった」  ウィリスの声は、よく通り、ハルの耳に心地よい抑揚を持って届いた。 「それと、もうひとつ。俺はお前に振られていないし、自殺未遂も当然していない。むしろ前世では、接点はひとつしかなかったと言っていい。だからお前の想像は、間違っている」  ハルが振った人間ではない。  前世での接点はひとつだけ。  なのにハルの前世を大庭遥だと言い当てることができる人間など、どこにいるのか、ハルは不思議だった。 「じゃ、きみはいったい、誰なんだ……?」  ハルの内面の混乱を見て取ったウィリスは、「すまない」となぜか謝罪をし、ハルの顔を覗き込んだ。 「正直なところ、迷っていた。好感度が急降下するだろうことはわかりきっていたからな。だけど、俺がお前を知っているのに、お前が俺を知らないのは、フェアじゃないよな……」  いきなり顔を覗かれて、ハルは恥ずかしさに心臓が爆発しそうだった。羞恥と緊張を伴って、心が打ち震えているのがわかる。  ウィリスは「よく聞いてくれ」とハルの両肩に手を置いた。 「俺の前世は、字井永一朗。お前を死なせた男だ」

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