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第154話 字井永一朗3

「真冬? 真冬も転生してるのか?」  まさか彼女まで巻き込まれているとは、とハルが声を上げると、ウィリスは複雑な顔をした。 「真冬はアリサ様だ」 「えっ?」 (アリサ? って、おれの妹のアリサのことか?)  思わずぽかんと見上げると、ウィリスは「気づいていなかったのか?」と呆れた表情を見せた。 「お茶会に呼ばれた時に、真冬がアリサ様として転生していることがわかったんだ。俺の知る限り、このゲームのキャラクターに転生しているのはお前、俺、それに真冬の三人だ。だが彼女が特殊なのは、幼少期から転生前記憶を保持していたらしく、自分の兄が悪役令息であることにも、気づいていたことだ」 「そんな……全然知らなかった……」 「真冬……アリサ様もまた、眠りについて目覚めたら、元の世界に戻れなくなっていたらしい。俺と同じパターンだな。アリサ様は、兄であるお前の手紙の筆跡が変わったことから、お前が転生者なんじゃないかと疑ったようだ。そのあとで俺とお茶会で接触し、互いを知った。その時、お前の話になって、前世でのお前が大庭遥だったことを、俺が彼女に話した。それからあとは、知ってのとおりだ」 「そうだったのか……」  梅干しと昆布茶は、前世で真冬の好きなものでもあった。アリサが転生前記憶を保持して異世界に生まれてきたならば、それらをガーディナー家の秘伝のレシピとして伝えていても、何もおかしくはない。 「重度のゲーム中毒者だった彼女は、自分の兄が悪役令息であることを知り、憂いていた。そこで兄が破滅しないよう、長い間見張ってきたそうだ。幼い頃のお前は、傲慢で鼻持ちならない奴だったと言っていた。だが、お前は転生前記憶を思い出して少し変わった。ララに対する態度がいい例だ」

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