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第161話 愛咬1(*)
ベッドの上に組み敷かれて、額に額をくっつけられる。
心臓が物凄い速さで脈打っていて、とても正気でいられそうになかった。
「ウィ、リス……」
喘ぐように名前を呼ぶと、ウィリスは眦を赤く染めた目を細め、ハルの火照っているであろう頬にそっと手を這わせた。
「鍵は閉めた。ゆっくりする」
速度だけの問題ならば、かき立てられるように急いでしまいたい。なのにウィリスはハルの手を取ると、そっと自分の心臓へあてがった。
「聞こえるだろ? この、音」
「っ……き、聞こえたら、何だって……」
「お前が欲しくてたまらない」
まるで赤子のように途方の暮れた言い方に、何かが胸に迫ってくるのをハルは感じた。きっと、ウィリスにもダイアログが出ていると思いながら、ハルの胸の高鳴りも、どんどん大きくなっていく。
「好感度、上げるぞ……?」
「え?」
「お前が、よそ見できないように。俺のものになるように。俺の方を見るように」
「み、見てるし、それに、よそ見なんてしない……」
「もっとだ。足りない。お前の全部が欲しい。ハル」
言いながら瞼に口づけを落とされると、ピコン、と馴染みのある音がして、好感度の変化を告げる、キスを問うダイアログが出る。
「俺がどれだけ本気でいるか、ちゃんと知ってくれ」
今度は額にキス。頬に、耳朶に、首筋に、鼻の頭に、そして最後にやっと触れるだけのキスが、唇に落とされた。
優しい触れ方は、急くハルには焦れったくさえ感じられる。シャツのボタンを外されるたびに、露出する肌に口づけを落とされ、心臓の上にそれが乗ると、急に恥ずかしくなった。
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