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第162話 愛咬2(*)
「は、ウィリス、もっと、早く……っ」
この破れそうな鼓動さえ、ウィリスに悟られてしまうだろう。触れられたところが蕩けてしまいそうで、期待と緊張で腹の中がじゅわっと潤みはじめるのが、わかる。
「ぁ……、ぁ……っ」
触れただけのキスのあとは、熱い指先による愛撫が待っていた。何度もまさぐり合った身体なのに、ウィリスはまるで新たな性感帯を探るように丁寧に肌に触れる。
「んぅ、ふぁ……っ、はぁ……っ」
触れて欲しいところにも、触れてほしくないところにも、均等に。触れる行為を繰り返されるうちに、ハルは息が上がり、喘いでしまう。
ウィリスはハルの表情を探るように凝視するが、丁寧すぎる接触をあらためようとする気配はない。安らぎと興奮をもたらすウィリスの手と唇が、ハルを溶融させる。
「さっ、き、から……っ」
ウィリスの側のダイアログがどうなっているのかはわからないが、ハルのダイアログは先ほどから煩いぐらいに鳴っていた。
「出てるか? ダイアログ。俺にも出ている。ほら、またひとつ出た」
「ぁっ……」
ハルとウィリスの皮膚の接着面が変わるたびに、更新通知のようにダイアログが出続ける。
「これ、っ……カンストしたら、どう、なる……っ」
「さあな。することなんて、あるのか不思議だが、あとでポーズを使ってあの爺さんに訊いてみるか。……腰、少し上げられるか?」
「んっ」
ウィリスはこともなげに「神」のことを爺さんと呼んだ。ハルはポーズを使い果たしてしまっていたが、ウィリスは用心深く取ってあるのかもしれない。
ともあれ、ハルの衣類を全部脱がしてしまうと、ウィリスもまた上半身を脱いで、ハルに覆いかぶさってきた。
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