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第168話 愛咬8(*)
「ごめん、勇気がなかったのは、おれの方だった。覚悟がなかったのも、おれの方だった。でも、もう、隠したり躊躇したりしない。誓うよ。おれも、きみが好きだ。世界で一番、大好きだ。きみがくれたから、もう迷わないでいられる……っ」
(噛み跡、ほしい……)
ハルの背中を抱いて、トントンとあやしてくれるウィリスの歯型が欲しいと、その時、ハルは初めて思った。
「噛んで、くれるか、ウィリス……」
「ハル……?」
「きみのものになりたい。きみのものだっていう証がほしいんだ。うなじ、噛んでほしい」
本当なら、段取りがあって、決断があって、契約があって、両家の間で様々な調整や協調があって、初めて成り立つことのはずだった。
けれどウィリスはそれらを飲み込んだ上で、そっとハルの意志を尊重するように言った。
「そのつもりだ」
それから先の交わりは、嵐のようだった。
互いに食むように貪り合い、ハルは気がつくと後孔にウィリスがめり込むのを、腰を振りながら待ちわびていた。
後孔に接着されたウィリスの先端が、めり、と音をさせるほどの圧倒的な存在感で挿入されてゆく。先端が太く、竿が長く、長大なものがハルの内壁を犯し、文字通り薙いで、抽挿しはじめる。
「すごく濡れてる……、痛みは?」
「な、いっ……はぁっ、きて……っ、はやく」
「動くぞ」
「んっ」
手短かに互いの意志を確認し合うと、そこからは荒れた海をゆく難破船のように揺さぶられた。中をぐじゅぐじゅと音をさせて行き来するウィリスの昂りが、往復を繰り返すたびにハルの快楽を助長してゆく。
「ぁ、ぁっ……ぁあぁ、っ」
誰が聞いてもわかるぐらい卑猥な水音が、ウィリスが動くたびに空気を震わせる。その音すら耳から犯されているようで、欠落を感じるハルは貪欲にウィリスを求め、ウィリスはそれに余すところなく応えた。
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