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第176話 エンディング・エピローグ1
晩夏の季節が再び巡り、ハル、ウィリス、トーリス、ララの四人はひとりも欠けることなく、ラインボルン学院高等部三年に進級した。
「渡り廊下で小競り合い? 誰と誰だ。クラスと名前を確認して首謀者を確保。緊急性の高い事案については各自の良心に即した判断に任せる。責任は俺が持つ」
「わかりました」
「委員長、新一年生に出ていた迷子の二名は、場所が判明したので当該列に戻しました」
「よし。全生徒のカウントが終わったら、新一年の校内見学を手伝ってやってくれ。トーリスという風紀副委員長が指揮しているから、そいつに不明なところは全部聞いてくれ」
「了解しました」
慌ただしく飛んでくる報告を、風紀委員長になったウィリスがざっとさばいていく。黒い制服の上着の左腕に、橙色に金の縁取りのある腕章を巻いたウィリスは、今や学内の誰もが一目置く存在だ。というのも去年あった「『放課後お茶会クラブ』暴行未遂事件」で、モーリジィを向こうに回して、大立ち回りを演じたひとりと考えられているからだった。
その噂をこっそり流したのが招待客として招かれていた旧三年生の者たちであることを、ハルもウィリスも承知していたが、あえて否定しようとはしなかった。
「中庭の見回りをしてきたよ。今年はオメガの新入生がいないから、それほど目立った事件はないようだ」
鋭い視線で下級生たちに指示をしていたウィリスの金色の眸が、歩み寄るハルを捉えた途端に、ふっと和む。
「ちょうど良かった、ハル。すまないが、ララと一緒に新しくきたローヴ先生を探して、救護室まで案内してくれないか」
「いいよ。いってくる」
ハルが踵を返すと、ウィリスがその腕を掴んで止めた。
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