30 / 181

魔王と労働

 魔王は黙ったままで崖を駆け降り、直ぐに戻ってきたかと思うと、そのまま洞窟に入ってしまった。本当になんだと首を傾げたキースだが、釣り場についてようやくその意味を知る。  釣り場の海面には沢山の魚が浮いていたからだ。 「まさか魔王が」  以前にもやった魔王の釣り、もとい、漁だ。 「私の為に?」  というか、金の為に?  魔王が。労働を。 「どれだけ硝子欲しいんですか!」  海に向かって叫んだあと、せっかくだからと慌てて魚を掬い上げる。魚籠に入りきらない程の魚を掬い上げながら、あれはもしかして大きな子供なのではないかと思った。

ともだちにシェアしよう!