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魔王と労働
魔王は黙ったままで崖を駆け降り、直ぐに戻ってきたかと思うと、そのまま洞窟に入ってしまった。本当になんだと首を傾げたキースだが、釣り場についてようやくその意味を知る。
釣り場の海面には沢山の魚が浮いていたからだ。
「まさか魔王が」
以前にもやった魔王の釣り、もとい、漁だ。
「私の為に?」
というか、金の為に?
魔王が。労働を。
「どれだけ硝子欲しいんですか!」
海に向かって叫んだあと、せっかくだからと慌てて魚を掬い上げる。魚籠に入りきらない程の魚を掬い上げながら、あれはもしかして大きな子供なのではないかと思った。
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