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お風呂に入りたい
ウサギの置物は服を買う程度の値段で売れた。とりあえず丈夫そうなものと、魔王の背丈でも着られそうなものをいくつか買うと、キースは早々に市場をあとにする。
何度か通っているうちに、商人の顔見知りも増えて声を掛け合う相手も増えた。
「今日は魚ないのかい?」
「海が荒れているので無理でした。また来ます」
「待ってるよ、あんたの持ってくるのは珍しいからよく売れる」
「またぜひお願いしますね」
深く関わるのは避けたかったが、まだ魔王の食器がそろっていないので、この市場には世話になるだろう。話のしやすい相手を作っておくにこしたことはない。顔を隠していても警戒されないのもありがたい。
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