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魔王の事情 2

 怯えなど一度も見たことがない。いつでも噛みつくように怒りと憎悪の炎で焼きつくすような視線で魔王を睨んできたキースは、間違いなく目の前の男なのだと確認すると、安堵すら覚える。  ――こうでなければ引き裂く楽しみがない。  「ただの人間」であるキースを殺しても、満たされはしないのだ。  どうせ時間なら腐る程にある。  キースの魔法力を奪い取る方法を探りながら、このくだらない生活をもう少し続けるしかないのだ。  目の前にはキースが彫った置物の兎がある。それを手に取ると、本当に微かだがキースの魔法力を感じた。 「これは貰う」  兎を手に寝床に戻り、その魔法力を吸い取ってみようとするが、微量すぎるのか魔王の力にはならなかった。 「まだ、時間が必要か」  それもキースを殺す瞬間を思いさえすれば、耐えきれそうに魔王には思えた。

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