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魔法使い襲来

 マリーはキースの左手に両手をかざすと、回復の呪文を唱え始める。ふわりとした温かさに包まれて、キースは思わず息を吐いた。焼いた時から続いている痛みが和らいでくる。すぐに指先を動かせるようになった。 「マリー、すみません」 「まだ使うなよ。しばらくは私の元に来い。ちょうど弟子が余っているからお前が面倒を見ろ」  否と言わさぬ強い口調に逆らうのは危険だ。けれど、今、マリーの元に行くことはできない。それをどう言い訳しようかと頭をひねるが、何をどう言っても、無駄な気がする。取りあえず今は時間を稼ぎたい。 「ところで、貴方はどうしたんですか、急にこんな所まで。しかも一人でしょう。弟子はどうしたんですか?」 「こんなお前の結界が強すぎる場所に来られるのは私くらいだ」 「弟子の彼も貴方の元が長いでしょう、甘やかしすぎじゃないですか?」 「良く喋るな、キース」 「元からですよ」  キースの左腕はもう嘘のように爛れた肌が滑らかなそれに戻っていた。随分、楽になった。それでも完治ではないらしい。 「ありがとうございます」  マリーは回復魔法を止めると、肩より長い前髪をかきあげる。見目は美しいのに、こういう仕草が大柄なので、違和感が凄い。 「キース」  静かに呼ぶ声の底に重いものを感じて、びくりと肩が跳ねた。全てを暴くような大きな目を見ていられなくなる。こうも追い詰められた気分になるのは、世界でマリーに対してだけだ。 「何です」 「私がここに来たのは、お前が呼んだからだ」 「私は何も?」 「お前の魔法力の乱れが酷い。それで来てみればその火傷だ。話せ、残らず全てだ」  話す……自分がしてしまった愚かな行為と、それに準ずる感情の全てを話す、そんなことはできない。いくらマリーが相手でも、そんなことはできない。いや、マリーだからこそできない。 「何もない」 「お前が話さないなら、無理にでも暴くしかないが」  左手の感覚は戻っている。マリーを力づくで追い出すことができる程に回復しているのか疑問だが、やってみるしかない。 「私に剣を向けるとどういうことになるか、そんなことも分からない程おかしくなったか」 「やってみないと、分からない」 「自分の状況も分かっていないのにか。やはりお前を一人にするんじゃなかったな。孤毒を侮り過ぎだ」

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