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魔法使い襲来
振り返ることができず、そのままで叫ぶ。
「これは、私の造った偽物ですよ」
「それのどこが偽物だ! お前、封印を解いたのか!」
「封印は失敗だった、だからこれは偽物だ」
「失敗のはずがないだろう、私も確かめた。お前の封印は完璧だった」
「それでも、これは偽物なんです! 灰は核に沈着しなかった、これは私の魔法力で死んだ核を灰で覆っただけのものだ」
「何を言っている、もういい、それを殺す」
キースの肩を掴んでマリーはキースをどかそうとするが、動くつもりはなかった。魔王が壁に打ち付けられた衝撃からようやく動きを取り戻す。忌々しげに睨みつけてくる視線はキースを素通りして、魔法使いに向けられた。
「貴様が呼んだのか、キース」
「違いますよ」
背中から冷たい殺気を感じてマリーの本気を知る。
「キース、どけ。それを殺す」
「偽物です」
「まだ言うか。それの核は生きているだろうが? それとも気付かない振りをしているのか」
マリーは正しい。
キースとて、心のどこかで気付いていた。
魔王が偽物ではないかもしれないということを。
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