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魔法使い襲来

「俺が偽物? なる程、貴様はそう思っていたのか」  魔王が声をあげて笑いながら、キースの肩を掴んで投げ飛ばす。それと同時にマリーから炎が放たれ、魔王がひらりとそれを避けた。 「魔力が無い魔王など私の弟子にも劣る」  鼻で笑ったマリーに魔王も同じように鼻で笑って返した。 「魔法使いか。キースの次に面倒だったな、やはり殺しておくべきだった」 「その力すらなくキースに斃された魔王が何を言う」 「キースの邪魔がなければキサマなど敵ではない」 「試してみるか」  マリーが魔法の風を編みあげる。魔王はキースの腰から剣を抜いたが、魔力も無しにマリーに勝てるはずがない。キースは魔王の手を掴んだ。 「何だ」 「死にますよ」 「貴様の魔法力をよこせ」  魔王は短くそう言うと、キースの手を握る。マリーの視線だけが怖い。 「何をしている! キース!」  マリーから風が放たれる。キースと魔王は弾かれたように左右に避け、剣を翻した魔王がマリーへ飛んだ。マリーはそれを炎で撃ち落とす。炎に包まれた魔王が咆哮し、炎は散った。 「……魔力も無しに私の炎を散らすか。魔王、魔法力を取りこんでいるな」 「さあな、分からん」 「キース、これはいずれ魔法力を使いこなすぞ。今、殺す」  魔法力を取りこまれていることは知っている。魔法力を使いこなすなど考えられないが、マリーがそう言うならやらない訳にはいかない。これは、魔王なのだ。  ――殺す。  そう決意したではないか。マリーが仲間として側にいる今なら、魔王を殺すのは容易いだろう。 「魔王を、殺す――」  呟いて魔王を見つめる。銀の長い髪が風になびいてその下で輝く薄青の肌がやはり美しいと思った。  この青が欲しかった。  偽物だと信じたこれが実は本物だったとしても、魔王を欲する想いは消えやしない。本当はずっと、惹かれていた。

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