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ワグの事情

 ……なんだろう。痴話喧嘩に見える。魔族と勇者って、こんな風に口喧嘩するものだろうか。肌さえ青くなければ、ほとんど俺達と変わらないのに。それでもオレはこいつを殺すんだろうか。 「ワグ、いうことを聞かなくていいですよ」 「寝室だけでいい。作れ」  二人の声が重なって、オレはおかしくて大声で笑ってしまった。 「簡単な小屋しか無理っすよ」 「ワグ……君は優しいですね」 「大丈夫っす。そいつ結構器用だし、力仕事やってくれたら助かるし」 「ではオーガは代わりに暗殺の方法をワグに教えてくださいね」  オーガは嫌そうに顔をしかめたが、何も言わないのは肯定らしい。暗殺をする相手から暗殺の方法を教わるなんて意味の分からない話だが、なんだかそういうことになってしまった。こうやって魔族だって押し切ってしまう所も、キース様ってかっこいいなあと思った。

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