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愛とは?
「本当に愛なんて人によって違うものなんですけど。例えば、貴方にとっては硝子も私も同じ『悪くない』なんでしょうけど、私にとって貴方は全く違うんです」
「分からん」
「いいんです、それで。だいたい、貴方は愛なんて知らなくていいですよ。貴方は貴方のままでいればそれでいいんです」
キースは笑うが、サラギはまったく納得できない。だいたい硝子とキースを同じなのだと思ったことなどないというのに、キースは何を言っているのだと眉を顰めた。
キースは他の何とも違う。サラギが唯一、これだけが欲しいとまで思ったものだ。
「俺は貴様が欲しい、それは違うのか」
「欲も愛の一種だとは思いますけどね」
もう面倒になって、サラギはまた図鑑に手を伸ばす。キースが知らなくていいというなら、もうそれでいいと思った。
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