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第22話

家に帰宅するといつもの様に小林が居た。 飯を作り俺の帰りを待っていたようだった。 「おかえりなさい。」 「ただいま。momoのマスターと桃瀬に報告してきた。」 そう言うと小林は心配そうに俺を見た。 「大丈夫。2人とも祝ってくれたよ。それにマスターにも言われたしね。」 「はい?」 「蓮がいなくなった時の俺よりも、お前といる俺の方が心配にならないって。」 小林の顔を見ながら言うと小林はあまり変わらない表情で。でも、確かに嬉しそうに微笑んだ。 「…そうですか。」 ◇◆◇◆◇ 「あ"っ…待って…はっ…げしいっ!!」 風呂に入るなり盛ってきたコイツに俺は戸惑いながらも2度目のセックスを受け入れている。既に一度、果てたと言ってもまだ互いの体は熱を持ち高め合っている。 耳元では好きですと何度も囁かれる。 俺を壁に逃がさないとばかりに張り付け、いわゆるバックで俺の腰を固定して激しく小林が自らの腰を打ち付ける。それは何度も繰り返えされ中のいい所にあたり、また嬌声が零れる。 「ぅんッ!…あっ。で、出るっ…あっ。」 ────。 頭が真っ白になる感覚と下半身に広がる気持ちいい熱。しかし。小林はイった俺を無視するようにまた激しく動き出す。 「はっ…あ"!だ、だめ…だって………!!」 「くっ…は。 涼太さんだけッ…ずるいですよね。 俺も良くして…?…っん。」 小林の熱い舌が俺の耳を舐め、びくっと身体が跳ねる。その反応を見逃さなかった小林はさらに耳を責めてくる。 「好きですッ…涼太さんっ!…中、出していい…?」 「あっ…はぁ…だ、ダメっ…!」 「っく…!」 ────。 小林は中に出さず俺の背中に白濁を吐き出した。 咄嗟に否定の言葉を出した俺に己の理性で自分を制御した小林に俺は涙が溢れてきた。 「っ!涼太さん…?すみません…! どうして泣いているんですか…?俺…なにか…。」 「…好きな人が自分を大事にしてくれてるって……。こんなに胸が一杯になる事なんだな…っ。」 溢れて止まらない涙は、感情のメーターが爆発したのと比例するように幸せだった。 思わず小林に抱きつきながらいうと、小林は俺の顎を持ち上げ優しいキスをした。 何とも言えない、ノンケとゲイの曖昧な関係からの俺たちはまだ全てが不安で必死だ。上手く言えないがこの不安さが、土台になって数年後の俺達は安定してその場に立っていられるのかもしれない。 互いに言葉が少ないから少しづつ2人で変わってゆく。それが俺達の幸せに繋がる……のかもしれない。 ◇◆◇◆◇ 翌朝、目を覚ますと小林が俺の髪を愛おしそうに撫でていた。 「…小林?」 「はい。おはようございます。」 「おはよ。」 眠たい目を擦りながら暖かいコイツに擦り寄る。そんな俺を優しく抱き締めて背中をさすってくれる。 そんな事をされたらもう起きたく無くなる。 ふと小林の身体を見るとそこには昨晩俺がつけた無数のキスマークがついていた。 ははっ。ホント独占欲強すぎ。 「ねぇ。涼太さん。俺達、そろそろ。一緒に住みませんか……?」 「え?」 ぼーっとしていたら小林が突然そんな事を言い始めた。 「俺達は恋人になったからもう、一緒に住んでも何もおかしく無いですよね?」 「は、はぁ。」 「なら、今週の休みに部屋探し始めましょう…!」 もう話が早すぎて何も分からないが、こいつに任せておけばいいだろう。というか、こいつも以外と独占強いんじゃね?そんな事を頭で考えながらも、体はどんどん眠りに沈んでいく。 俺はまた2度寝を決め込んで目を閉じた。 気持ちよく寝落ちる時に小林が愛してると呟いた。 俺もその言葉を返すように愛してると言ったが届いただろうか。 愛し愛され。また愛す。単純だが難しい事。それを続けるには相手に興味を持ち続ける事。 昔も今も。老若男女、みんな悩むものは愛だと昔、桃瀬に言われた。 それは俺もそうだと思う。 俺達は外で手を繋ぐことすらままならない。ましてや腕を組んだりも。 だけど、愛を感じる事はみんなと同じか、それ以上にある。恋が盲目なら愛はもっと盲目だろう。 透明な色した綺麗な心。 愛し愛され。また愛す。 そう紡がれてきた今が俺達だ。 愛し愛され。また愛す。 第一章 end.

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