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自信喪失中 6

「ボディーガード?」 那津は自分が早まった決断をしたような気がしたが、とりあえず自宅方面へ歩き出した。 「はい。そして同時に僕はあなたの弟子になり、カッコいい男になるための教えを請うのです。授業後は必ず、毎回ご自宅まで送り届けることを約束します」 ――授業って……。 確かに那津にとって、小次郎の申し出は魅力的だった。 とりあえず今日は自宅まで送ってもらっても、今後のことは考えていなかった。 再びあの男に遭遇したらと想像するだけで足元がすくむ。 那津は、昔から女子に囲まれて過ごしてきた。 高校生に進学してからも、すぐに意気投合したハナとイチカ、二人の女友達とつるんでばかりだから、そばで守ってくれるような男友達は皆無だ。 クラスメイトの男子とは、雑談くらいはするけれど、男同士の熱い友情とかは、経験がないのでよくわからない。 見た目はともかく、この小次郎という男は純朴でいいヤツっぽい。 けれど……。 最近、じわじわと失いつつある自信。

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