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自信喪失中 7
こんな自分に何ができるんだろうと、否定的な気持ちが五十パーセント。
しかも超ダサいとはいえ、一流大学生に教えられることなんてあるんだろうか。
「弟子っていうけど、あんた、俺のが年下だってわかってる?」
「もちろん、わかっていますよ。年齢は関係ないんです!」
そう言うと、拳(こぶし)を掲げ胸を張っている。
「あのさ、俺はあんたの想像を軽く超えるほど勉強できないし、世間知らずな人間だよ。きっとそのうちあんたの方で嫌になると思うけど」
小次郎の胸の張りは変わらない。
「あなたの魅力は、成績なんかで測れるものではないんです!」
なぜ、よく知りもしない人間をそこまで過剰評価できるのか。
「あー、そうですか。でもなあ……」
那津が長めの深いため息をつくと、それに反応した小次郎は肩を落とし、シュンとしてしまった。
その姿はまるで主人につれなくされた大型犬のように見えて、犬猫が大好きな那津は思わず形だけでも小次郎の願いを叶えてやりたいと思ってしまう。
「えーっと、うん、そうだな……。助けてもらったお礼もしなきゃだし、な」
小次郎の表情が一転、ぱっと明るくなる。
「そうですよそうですよ~」
笑顔全開な小次郎の顔を見ていたら、悪くないかもと思えてくる。
確かにごちゃごちゃ考えてもしかたがない。
それに、当分の間は彼女を作る気もないから、いい暇つぶしにもなるだろう。
「よし! わかった! 弟子にしてやるよ。俺があんたをイケてる男に変身させてやる!」
那津は、半分やけくそ気味に声を張り上げた。
「本当ですか? ありがとうございます! 嬉しいです! よろしくお願いします!」
今にも飛び跳ねそうな勢いの小次郎を見ていたら、少しだけ気分が上がってきた。
「では、あの」
「ん? なんだよ」
小次郎は再び真面目な顔つきになる。那津は首を傾げてその顔を見た。
「あなたの名前を教えてくださいますか、師匠」
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