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ベタな男 2

しかも、パンツの丈が短くて、変な模様の靴下が見えている。 そして、靴……。 もはや、靴のコメント(脳内でだが)をする気力は失せていた。 まるでこれは……。 そうだ、思い出した! 俺の親父が、ゴルフへ行くときいつもこんな恰好をしていた。いや、まだ親父の方が数段マシだ。 ためらっている間に、小次郎の方が那津を見つけてしまい、笑顔全開になったので、那津はなるべく目立たないよう速やかにベンチへ座った。 もちろん、小次郎も座らせる。 「那津さん、おはようございます!」 「ああ、おはよ……」 「今日は、約束して下さり、本当にありがとうございました。僕、嬉しすぎて、昨夜はなかなか寝付かれなかったんですよー」 小次郎の弾んだ声が、頭上を通り過ぎていく。 いっそ、寝不足で寝坊して、約束をすっぽかしてくれてもよかったのに。 ――なぜ俺は、貴重な休日に、一緒に歩きたくないほど妙ちくりんなダサい男と、約束などしてしまったのか……。 こんなところを知り合いに目撃されたら、死にたくなる。 「那津さんは、眠れましたか?」 「えっ?]

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