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ベタな男 5
しかし、普段からほとんど活用していない脳みそは、すでに疲労を訴えている。
これからショッピングなのに、無駄なエネルギーはもう使いたくない。
「那津さん、僕、どんな風に変身できるのか、ずっごく楽しみなんですよ」
「変身?」
「そうですよー。それで興奮しちゃって、夜なかなか寝付かれなかったんですから~」
小次郎は、那津に叩かれた額をさすりながら、おっとり笑った。
――そうだった。俺がこいつを、変えてやるって約束したんだっけ。でもそれなら、一緒に歩きたくなるようにすればいいだけじゃないか。
「小次郎、お前は今後一切、従兄から服を貰わなくていい。いや、もうやめろ、絶対」
小次郎は、一瞬驚いて目を見開いたが、大きくうなずいた。
「はい!那津さんがそうおっしゃるなら、そうします! 今後一切、従兄からのお下がりは受け取りません」
素直な小次郎を見ていたら、那津はやる気が出てくるのを感じた。
「よし! じゃあ最初に服と靴見るぞ。バッグも合うもの選ばないとな。そのあと飯食って、そんで、ヘアスタイルどうにかしようぜ」
「はい! よろしくお願いします!」
小次郎の、眼鏡奥の瞳が、嬉しそうに細められる。
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