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ベタな男 8
合計三着購入し、新しい服でショッピングを続けることにする。
購入済みの商品と小次郎の私服を店に預け、那津は小次郎の新しいシャツの袖を引っ張り(ただし、皺にならないように)隣のシューズショップへ入った。
またメガネメガネとうるさい小次郎に、それを放り投げてやる。
「あ、眼鏡……」
服が決まれば、靴を選ぶのは簡単だった。
一年中履ける黒のレースアップシューズ、ベージュのハイカットブーツ。
靴は多めに欲しいという小次郎のリクエストで、他にもタウン用の白のスニーカー、キャンパス地のデッキシューズも購入した。
今着ている白のデザインシャツと黒のパンツに合わせ、黒のシューズを履くように勧める。
小次郎は、脱いだ自分の服や靴は処分してほしいと店員に告げていた。
部屋のクローゼットをすべて新しく入れ替えたいという小次郎の強い意志が伝わってきて、那津はこうして小次郎の買い物に付き合ってよかった、と思えた。
その後は、ちょうどランチタイムになったのでフードコートに立ち寄った。
おニューのシャツに汁を飛ばさないよう気を付けつつ、眼鏡を白くさせてラーメンをすする小次郎の隣で、那津もラーメンをすすった。
「お前、白いシャツ着て担々麺注文するとは。チャレンジャーだな」
「すいません……注文してから気づきました。僕、辛いものに目がなくて」
「ぜってー、汁飛ばすなよ」
「はい! それはもう、絶対に! 那津さんが選んでくださった大切なシャツですから!」
「はいはい、頑張れよー」
眼鏡を曇らせながら慎重に麺をすする小次郎が面白すぎる。
那津自身はダークブラウンのTシャツなので、余裕でチャーシュー入りラーメンをズルズルすすった。
「はあ~、よかった。汁、飛んでないですよね」
湯気で曇ったレンズをハンカチで拭きながら、安心したように小次郎が那津を見た。
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