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ギャップ王子 1

次に小次郎に会ったのは一週間後だった。 予定通り眼科の検査に行ったらしく、コンタクトレンズに変えていた。 小次郎の素顔は何度も見ていたから知っていたけれど、顔を見て話すたびに切れ長の真っ黒な双眸に見つめられるのには慣れない。 ――やっぱりこの目は、破壊力ありすぎるだろ…… 先日二度目に会ったとき、買い物をしてほぼ一日一緒に過ごした。 那津が選んだ洋服を着て、ヘアスタイルを変えた小次郎は別人のようにどんどんカッコよくなっていった。 けれどその途中、那津は小次郎の素顔を見て、その目に見られることに違和感というか、居心地の悪さを感じていた。 小次郎はお人好しですごくイイヤツで、気を遣わないから一緒にいると癒される。 帰り際に「また会って欲しい」と告げられた時は、正直那津も嬉しかったのだ。 ――なのに、頭ではそう思っているのに、理解しているのに、体がいちいち反応してしまうのだ。 小次郎にじっと見つめられると、首の後ろが粟立って、尻と腰の間がムズムズする。 ――うまく表現できないけど、とにかくこいつの目はヤバい…… 「まあでも、絶対この方が女子には完璧うけるよな」 隣を歩く小次郎を見上げながら、那津は呟いた。 「え、なんですか、那津さん」 ほとんどはこんな風に全開の笑顔だから、すぐに忘れたりするのだが、ふとした拍子に真剣な面持ちでじっと見つめられる瞬間があり、男同士だというのにそわそわしてしまう。 「ほんと、女子なら瞬殺だな」 「那津さん?」 「……いや、男前は得だよなって話」 「はい、那津さんはとてもカッコいいです」 大真面目な顔で答える小次郎に、那津はぷっと吹き出した。   こうして街を二人で歩いている今も、小次郎は周囲の女達の熱い視線を集めている。

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