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ギャップ王子 3

「見てください、那津さん。仔猫が並んで眠ってますよ、可愛いですね~」 「えっ、どこどこ?」 ガラスで仕切られた向こうに、血統書付きの仔猫が、小さな体を丸めて暖を取るようにくっつき合って、スヤスヤ眠っている。 あまりの愛らしさに、那津はガラスにへばりついた。 「うわーー……。超萌える。全部俺んちに連れて帰りてえ~。なんでこいつら、こんなにラブリーなんだよ。犯罪の域に達してるだろこれ」 隣で小次郎がくすくす笑っている。 「那津さんて猫好きなんですね。僕の実家でも猫を三匹飼ってますよ」 「うっそ、マジで? いいなあ、俺も猫飼いたいけどさ、姉ちゃんが猫アレルギーだから無理なんだよ。超うらやましいな」 ガラス越しにもかかわらず、仔猫の愛らしい寝姿はこの上なく癒されるし和む。こんなに可愛い生き物と同じ空間で生活できたら、どんなに毎日楽しいだろうか。 那津は小次郎を放置したまま、しばらく萌えを堪能した。 「あの……。那津さんさえよかったら、これから僕の実家へいらっしゃいませんか。ここからだと電車一本で、30分くらいで着きますから」 思いがけない申し出に驚いて、その顔を見た。小次郎は全開の笑顔で、にこにこしている。 「行く!」 那津は迷うことなく答えた。 ♢ 「どうぞ、進んでください」 どうぞと言われてくぐった門は、那津の頭より高かった。 那津の貧弱な脳みそでは、どう表現したらいいのかよくわからないが、恐らく世間では、こんなのを「豪邸」と称するのだろう。 門の左右には、長くて立派でデザインの洒落たエントランスライトが、天に向かって伸びている。 那津の自宅も戸建てだが、門の高さは胸より低いし、ライトは当然ついているはずなのに(夜間は点灯しているから)デザインなんて覚えていないから比べようがない。

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