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ギャップ王子 4

進めと言われて玄関まで歩いているわけだが……。大体、普通は門から玄関までこんなに距離はないと思う。 那津は自分の後ろをのんびり歩いてくる小次郎を見た。その視線を受けて、瞬時に小次郎は笑顔全開になる。 ――まったく。まるで主人の様子をうかがってはいちいち喜ぶワンコだな、こりゃ それにしてもこんな豪邸が実家だなんて、コイツは国立大生の上に相当なお坊ちゃまということか。 そういえば、前回の買い物の予算が那津の予想より一桁多かった。あの超が付くほどダサい洋服も、(元は従兄の物らしい)高価なブランド品に違いない。(全然そう見えなかったが) 重厚で丈夫そうな木製の玄関ドアが開き、中から50代後半くらいの上品な雰囲気の女性が顔を出した。 「あら、やっぱり小次郎さんだわ。お姿がカメラに写っていたものだから。お帰りなさい」 彼女は、やや控えめのなメイドの様なエプロンを身に着けている。 「ただいま、タナカさん。今日は大切なお客様も一緒なんだよ。美味しいお茶を淹れてくれる?」 ――おいおい、タナカさんて。――お袋さんじゃないのかよ! もしや、お手伝いさん? 家政婦さんか! 『家政婦は見た』的な感じの! 那津は脳内で勝手に興奮し、ドラマで家政婦役だった女優とタナカをシンクロさせた。 ちなみにそれは美魔女な女優ではなく、現在はアラ還をとうに過ぎている方の女優だ。祖母がそのシリーズの大ファンだったから、那津にはそっちの方が馴染み深い。 「那津さん、紹介します。この人は僕が赤ん坊の頃からお世話になっているタナカさんです。タナカさん、こちらは僕の師匠の青海那津さんです」

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