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ギャップ王子 7
――こいつは、変わり者の残念なヤツなんかじゃなくて、正真正銘のサラブレッド、俺なんかとは住む世界が違う……
そりゃ、そもそも学力からして天と地の差ほどあるのだから、そんなことはわかっていたけれど。
不意に湧き上がった、いじけたような自分の感情に驚いた。
うっかり親しくなり、小次郎と一緒にいるのが楽しくなってしまったからだろうけど、複雑な感情にもやもやする。
そしてさらに思ってしまった。
小次郎は、底辺高校生の自分なんかに懐いている場合じゃないだろう、もっと将来のためになることに精進すべきじゃないのか。
那津は頭をフル回転させてそんなことを考えた。
しかし、シリアスな考えがよぎったのはほんのわずかな時間で、単純な仕組みの那津の脳みそは、腕の中の可愛い猫たちに占領されてしまった。
そして、せっかく来たのだから、他の部屋も見たくなった。
「なあ、お前の部屋ってどこ? ちょっとのぞかせろよ」
何百回目か不明のシャッター音を聴かせたあと、小次郎は驚いた顔をした。
「えっと、二階です、けど……。殺風景だし、那津さんにお見せできるような面白いものは、何もありませんよ」
小次郎にしては珍しく反抗的な態度だ。那津はますます見たくなった。
「ごちゃごちゃうるせえ、いいからさっさと案内しろよ」
勝手に探すにしても、この広い屋敷の中じゃ迷子になりかねない。
「……わかりました」
不本意そうな小次郎の後に続き、那津はスコティッシュフォールドのベルを抱きかかえ、鼻歌まじりで階段を上がった。
それにしても、階段まで床と同じ模様の絨毯が張られており、宿泊の経験はないが、高級ホテルはきっとこんな感じなんだろうなと思った。
これだけ広ければ掃除が大変そうだ。
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