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友情と感情のはざま 3

いや、でも、小次郎のことは友達として好きになり始めているし。――なんだか、よくわからない。 当の小次郎は、メモ帳とペンをテーブルに置き、那津の顔をじっと見つめていた。 「な、なんだよ、人の顔ガン見して」 「あの、那津さんのこと、僕に教えてくださいませんか」 小次郎は真剣な表情のまま、身を乗り出すようしている。 「……俺のことなんか、どうでもいいだろ」 「師匠のこと知りたいと思うのは、当然です。だめですか?」 「いや、べつに。だめってわけじゃ、ないけど」 小次郎はにっこり笑った。いつものアホ全開な笑顔……いや、もう全然アホっぽく見えないけれど。 「じゃあ、ですね。僕がいくつか質問するので、正直に答えてください。あ、ほら、僕が今後女の子に質問する練習だと思えば、気楽じゃないですか」 なんだよ、練習かよ。と、那津は軽く落胆した。そして、自分の感情に驚く。 ――は? ……何、俺、今がっかりしてなかった? いや、気のせいだよな。そうそう、気のせいだ…… 那津の頭の中は、クエスチョンマークでいっぱいだった。そんな那津の頭の中など知るよしもない小次郎は、楽しそうにいそいそとメモ帳を再び開く。 「那津さんがこの世に生を受けた、記念すべき日はいつですか?」 「誕生日って言えよ、ややこしいな。……七月七日だよ」 小次郎は聞くなり、祈りを捧げるように両手を顔の前で組んだ。 「七夕なんですか? なんてロマンチックで素敵な日なんでしょうか! 那津さんのイメージにぴったりです!」 ――また素敵って……。お前にとって俺はどんなイメージなんだよ 「猫がお好きなんですよね。他に好きな動物はいますか」 「そうだな、ハムスターとか」 「あっ、それ、可愛いですよねー。那津さんとハムスターお似合いです。今度また一緒にペットショップ行きましょう。那津さんとハムスターのツーショット、きっと萌え度120パーセントですよ~」 萌え度って…… その後、那津は小次郎の質問攻撃を受けた。 食べ物の好き嫌い、好きな色、休日の過ごし方、好きな映画のジャンル。プレゼントをもらうなら何が一番嬉しいか、など。 誕生日を聞くということは、もしやプレゼントをくれるつもりなのかと期待してしまいそうになり、那津はあわててそれを打ち消した。

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