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障害? 4

「え? ちょ、ちょっと! シカトしないでよ! ねえ!」 先ほどの堂々として偉そうな態度から一変、あわてた様子で追いすがる小夜香がなんだか面白かった。 「いいの? あの人」と、ハナたちに心配されながらも、小夜香の声を背にずんずん歩いた。 けれど、大勢のギャラリーに注目されながら悲痛な声で那津を呼ぶ小夜香が、段々気の毒になってくる。 「ねえ、那津くんってばあー!」 那津は、めんどくさいなあと思いつつ振り向いてやった。 もうひとつ、小次郎との共通点を発見した気がする。 ――なんか、犬っぽいな。……こっちは小型犬て感じだけど。 「なっちん、ケーキはまた今度行こうねー」 「うん、どんなのがあるか見てきて」 「りょうかーい」 ふたりは那津にブンブン手を振りながら、楽しそうに駅へ向かって歩いていく。 ――くそっ、シフォンケーキ……。 イチカとハナを見送ったあと、那津は車の助手席に乗り込んだ。 洗車したてみたいに赤いボディはピッカピカで、当然のように運転席は左側だ。 以前、こんな感じのスポーツカーのボディに、アニメキャラクターのような可愛い女の子のイラストが、でかでかと描かれているのを見たことがある。いわゆる『痛車』。 それは国産車だったが、なぜかそれを思い出した。 真っ赤なスポーツカーという時点で引き気味なのに、これがもしオープンカーだったなら、断固乗車拒否していただろう。 ついさっきまでキャンキャン吠えていた『小型犬小夜香』は、ペースを取り戻したらしく、鼻歌交じりにハンドルを握っている。 いったいどこへ連れて行くつもりなのか知らないが、そもそも、那津に何の用があるというのだろうか。 「この車、派手だね。小夜香さんにぴったりだけど、あんたの車?」 相手は年上だが、敬語を使う気になれず、那津はぶっきらぼうな口調で訊いた。 たとえ小次郎の従姉でも、まだ一度しか面識のない相手を待ち伏せするなんて、非常識だ。 「私の車よ。二十歳の記念に、パ……父から贈られたの」 普段は、パパと呼んでいるらしい。

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