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すれ違う心 1
「那津くんたちも、特別に招待してあげてもいいわよ。私たちのサークルで『メイド執事喫茶』をやってるの」
「はあ……」
特別と言われても嬉しくないが、ハナが興味を持ったようなので、小次郎にくっついて行ってみることにする。
何のサークルか謎だが、小夜香らの『メイド執事喫茶』は、そこそこ盛況のようだった。
ショータイムに、最奥のステージで執事たちがダンスを踊り始める。
ジャズが流れてるからジャズダンスなんだろうけど、へたくそだったら目も当てられないという心配は杞憂だった。
それにしても……。
女子は小夜香一人だけで、他はオールメンズ。
スタッフに女子がいるかもしれないと、あちこち見ても、ヤローしか見当たらない。
――女子の友達いない系か?
那津も同性の友達がいないから、人のことは言えないが、そんなところで小夜香との共通点を発見してもまったく嬉しくない。
――でも、今俺には小次郎がいるし。
その小次郎はというと、申し訳なさそうな目で、那津とハナを順に見た。
「すみません、那津さん、ハナさん。こんなことになってしまって……」
「お前が謝ることないよ。でもほら、ハナは結構楽しそうだしさ」
那津の隣のハナは、珍しいものを見るように執事のダンスにくぎ付けだ。
那津は、複雑な気分だった。
ここで小次郎に会えて嬉しいのに、なんだか不満でいっぱいだった。
やっぱり、いつものように二人きりで、ハナも小夜香もいない場所で、小次郎と会いたかった。
――小次郎が気を遣うのは、俺だけでいいんだよ。ハナには、俺がいるんだし。
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