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想い 2

「では、行きましょうか」 「……おう」 那津は、ポケットにスマホを戻した。 小次郎のマンションに行ける期待感と、小次郎に幻滅されるかもしれないという不安を半分ずつ抱えながら、それでもこうして、互いの顔を見ながら小次郎と並んで歩ける幸せを、今は感じていたかった。 *  小次郎のマンションは、駅から徒歩五分。 予想通り、築浅で豪奢な物件だった。 那津の自宅からは十五分ほどで到着した。 「人を招くことがないので散らかっていますが、どうぞ、あがってください」 「お……お邪魔します……」 「……敬語ですね」 「べ、べつにいいだろ。なんか……緊張してんだよ」 つい本音をポロリとこぼしてしまった。 小次郎は振り向き、驚いた顔をする。 「僕の部屋に入るのに緊張するんですか? ……困りましたね。那津さんにはゆったりとリラックスして欲しくて来ていただいたのに……。あの、場所を変えますか?」 真顔で言われて、那津は慌てて答える。 「いや! 違う違う! たいしたことないから平気だって! その……俺っていつも初めての場所は軽く緊張しちゃうんだよね。それだけだからホント……気にすんなマジで!」 言い訳がグダグダになってしまったが、小次郎は心配そうに那津の顔をじっと見つめた後、にっこり微笑んだ。 「そうですか? ……でも――なんだか、そんな那津さんもとても可愛らしいですね」 「……勝手に言ってろ」 「はい」 語尾にハートが見えたような気がしたのは、多分自分の欲目だ。 小次郎と一緒にいられて癒されるけど、恋心が邪魔してドキドキして……。 那津の心身は、すでに疲労を訴えている。 でも、その百万倍は嬉しいんだけど。 小次郎の部屋のインテリアは、実家の部屋と同じく、シンプルでナチュラルな家具で統一されていた。 「俺の部屋の数倍、きれいじゃん」 「那津さんの……部屋……」 小次郎は一瞬動きを止めると、両手を祈るように組んだ。 なんだか、目をキラキラさせている。 「……ああ、那津さんの部屋。……那津さんが毎日どんな部屋で寝起きされているのか、想像するだけでなんだかドキドキしてしまいます」 「な?! ……何言ってんだよ! あほか!」

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