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幸せな朝 1

カーテンの隙間から、朝日が射し込んでいた。 時刻は午前七時。 休日の朝なら、まだまだ、まどろんでいたい時間帯だ。 那津が身動ぐと、温かい素肌を背中に感じた。 滑らかな肌と腕に、すっぽり包まれベッドの中にいた。 裸の肌に、サラサラの綿のシーツが心地いい。 ――あれ? いつの間にベッドに移動したんだろ。 のんびり、ふと昨夜の記憶を思い出そうとして、那津はハッと我に返った。 昨夜の己の痴態をさまざまと思い出し、恥ずかしさに居ても立っても居られなくなる。 けれど那津の身体は、筋肉質な白い腕にがっしり拘束されているから、どこかに隠れることもできない。 朝日に照らされて、小次郎の腕に抱きしめられている自分の身体がはっきりと見える。 陽に焼けた自分の肌と、小次郎の色白の肌のコントラストが、昨夜の情事をフラッシュバックさせる。 ーーうわ……恥ずかしすぎる……。でもこいつが……小次郎がとんだエロ魔神だったから……。 あまりの恥ずかしさにシーツの中に隠れたいのに、それが叶わず、那津は脳内でジタバタしながら、小次郎を起こさないようにおとなしく腕の中におさまっていた。 そうして、じっとしているうちに、恥ずかしさを凌駕するほどの幸福感がじんわり湧いてくる。 昨夜は、友人としての小次郎を失う可能性もあるかもしれないと覚悟していた。 すごく、怖かった。 結果的には、杞憂だったけれど。

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