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幸せな朝 4

「ああ、それなら那津さんの着てこられた洋服と一緒に、昨夜のうちに洗濯しておきました」 「え? 俺の服も洗ってくれたの? 確かに昨日は汗かいたもんなあ……でも、いつのまに……」 那津が首を傾げていると、小次郎は、「よかったらどうぞ」と、那津の前にきちんとたたまれた白いTシャツらしきものを差し出す。 「ん? なにこれ、これを着ろって?」 小次郎は、ややモジモジしながら答えた。 「はい、あの……洗濯物が乾くまで、それを着ていてください」 「ん、りょーかい」 小次郎がモジモジしてるのが気になったが、那津はTシャツを広げてみた。サイズが大きすぎる気がしたが、シーツを巻き付けてるよりはマシだろうと、袖を通す。 ――なんだこれ、部屋着代わりにするにしてもデカすぎじゃないの? しかし、丈も長いので尻まですっぽり隠れそうだ。 那津はTシャツの丈を確認するつもりで、ベッドから降りる。 その間、小次郎の強い視線を感じてはいたが、同じようにサイズを気にしているのかと思った。 那津の身体が二人分入りそうな幅。 首周りはやたらに大きく開いていて、肩が半分出てしまう。 丈の長さは予想通り余裕だった。 けれど、腕を上げたり、かがんだりしたら際どいところかもしれない。 飛び跳ねたら、アウトだ。 「あのさ、パンツも……」 続けようとして、言葉に詰まる。 那津を凝視していた小次郎の目がなんだか妙だ。 瞬きを忘れているのか、目が血走っている。 室内はエアコンが効いて涼しいはずなのに、呼吸が荒くて苦しそうだ。 いつもの小次郎じゃない。 凄く、怖い……。 「こ、小次郎、お前、目が変だぞ……」 「那津さん……」

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