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第15話

病院に着くと陽茜(あきね)はもう一般病室に移っていた。Ω(オメガ)という事を考慮してか一人部屋。点滴を受けて眠る陽茜は少し窶れて見えた。 「マンションの玄関ポーチに倒れていたところを帰ってきた住人の方が発見されて、運ばれてきました。」 「外に出たということですか?」 「確かなことは言えませんがそうでしょ。この時期の妊婦さんは体調が急変するんです。本人が気づかないこともあります。気をつけて上げてください。」 「はい、ありがとうございました。」 陽茜を診てくれていた初老の女性医師がそう告げて部屋を後にした。それを見送ると俺はベッドの陽茜に寄り添う。思えば俺は陽茜に負担をかけてばかりだ。きちんとした(つがい)がいて半年に2回も病院に担ぎ込まれるなんてある事じゃない。俺の責任能力を疑われてもおかしくはないだろう。 現にさっきの医師は部屋に入ってきた俺を「あなたは本当にこの人の番なのか?」という訝しげな目で見ていた。前に運ばれたのもこの病院なんだからカルテくらい残っていたのだろう。 「はぁー俺はお前を幸せにする自信がない…。」 こんな俺が陽茜の番でいいんだろうか。最近よく考えることだ。ベッドの横で項垂れてそんなことを零した時、 「…それは俺のセリフ…。」 返ってくるはずのない言葉が聞こえた。 「陽茜!?」 「眞仁さん…ここは?」 「○○病院、お前外出から帰った所で倒れてここに運ばれたんだ。」 「外出…ああ、そうなんだ。ごめんね呼び出して、いい所だったのに。」 「いい所?いったい何の話をしているんだ?」 「別に知らばっくれなくてもいいよ。」 陽茜から続いた言葉はまるで予想もしていない言葉だった。 「今日ホテルに一緒に入っていった人。美人だったね、ああいうのがタイプ?」 眞仁side終

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