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第35話

「貴方は先ほど俺が貴方から眞仁を寝取ったと言いましたが高校生を捕まえてレイプしたのは眞仁ですよ?そもそもこれだけ眞仁に逃げられ、自分じゃどうしようもなくなって眞仁のお母様を味方につけてもまだ眞仁に逃げられている貴方が眞仁と付き合っていたなんて有り得ないでしょう。眞仁は多少不器用でいい加減な所もあるけれど人に不誠実なことは絶対にしません。」 眞仁は俺との関係が上手くいかずにいた時も浮気や不倫と言ったような不誠実なことはしなかった。俺は勘違いしていたけれどあとから聞けば友人や同僚達と飲み歩いていたらしい。そんな眞仁が別の女性と付き合いながら、いくらフェロモンに当てられたとはいえ項を噛むとは思えない。 「仮に眞仁が俺と離婚したとしても、貴方に愛情が向くことは無い。」 これは断言出来る。眞仁が俺に今回の事を教えてくれた時、酒をいれたせいか散々愚痴られたのだここが嫌いだのあそこが気に入らないだの。本当に散々だった。 「そんな両親の間に愛のない家庭に大切な子供は預けられません。貴方がたがどうしても眞仁と別れてほしい、陽仁をこちらに渡して欲しいというのなら裁判で争いましょう。俺にはその覚悟がありますし貴方がたに受けてきた嫌がらせの数々は全て記録しています。」 それぐらいの覚悟を持ってこの人たちに向き合っている。それぐらい眞仁と陽仁を大切に思っていて渡したくないと思っている。 その覚悟を、決意を「Ωだから」の一言で片付けられたくない。Ωを見下し眞仁を政略結婚の道具にしか思っていないこの人達に渡したくない。 「立場と権力にものを言わせて言うこと聞かそうなんて思ってないですよね?イザとなったら裁判で争う位の覚悟で俺達を引き離そうとしているんですよね?」 返す言葉もないのか2人は黙ったっきりだ。それを確認した俺は少し声のトーンを抑えた。

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