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第44話

「俺ずっと怖かったんです。」 家族という形になって、ずっと秘めてきた心の底の恐怖を初めて言葉にする。 「いつか、この幸せな暮らしが終わるんじゃないかって。これは全部夢で、ある日目覚めたら全て消えてるんじゃないかって。」 それはいつもあった不安、恐怖。いくら眞仁が尽くしてくれてもこの思いだけは消えてくれなかった。 「俺も家族に言えてないし、きっと眞仁も何かあるんだろうなって分かってたから。いつか終わる日を恐れてひたすらにビクビクして過ごしてきました。」 それは陽仁(あきと)が産まれてからも変わらず居座り続けた。いつか出ていかなきゃ行けなくなるまで、さようならするまでの泡沫の幸せ。最後は笑ってお別れできるように、みっともなく縋りつかないように。そんなことを考えて過ごしてきた今まで。 「そんな覚悟をしていたから。認めてもらえて、これから眞仁と生きていけて凄く嬉しいです。」 優真さん優仁さん、嬉しい言葉をありがとうございます。菫さん、息子さんを取ってしまってすみません。いつか必ず認めてもらえるようになります。そして、百合香さん。貴女が眞仁のことを思ってきたことは尊敬します。ですが、眞仁を不誠実に言ったこと、俺の気持ちをなめたことは許しません。貴女以上に眞仁を愛して2人で幸せになって見せます。だから貴女も、貴女の幸せを見つけてください。 流石に声に出しては言えないから、そんな気持ちをこめて深く深く頭を下げた。その頭に眞仁の手が触れる。クシャクシャと撫ぜてくれた。それを合図に体を起こす。 優真さんと優仁さんは微笑んでいて、菫さんは俯いているから表情が見えない。百合香さんは少し悔しげな、でも憑き物が落ちたような表情だ。 まだ、全てが解決した訳では無いけれど。 眞仁が愛してくれている俺に自信を持って生きよう。眞仁を支え、一緒に歩いていこう。今度はそんな風に明るく楽しい覚悟になりそうだ。 「では、我々はこれで。」 菫さんと百合香さんはさきに帰ってしまったけど優真さんと優仁さんは残って陽仁に会って行った。特に優真さんは愛おしくて堪らないといったふうでデレデレなおじいちゃんぶりを早くも見せていたっけ。 今度必ずお家に遊びに行く約束をして興味をはお開きになった。

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