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第47話

「準備はいいか?」 「んー多分おっけい。」 あれだけ何回も確認してまだ多分が付くのかと少し呆れるが、まぁ惚れた弱みだ、少し可愛く思えてしまう当たりどうしようもない。 そんなこんなで予定の出発時間より30分オーバーでやっと家を出たのだった。 「お、お邪魔しますっ。」 「ただいま。」 緊張でガッチガチな陽茜を連れて帰省した家で出迎えてくれたのは兄の奥さんの咲良子さん、優しい微笑みは見る人を安心させる。看護師をしていると聞いたが、彼女にあっていると思えた。 「初めまして、眞仁さん陽茜さん。優仁の妻の咲良子です。」 「は、はじめぇましてっ!」 噛んだなコイツ。ほら見ろ咲良子さんに少し笑われてるぞ。 「可愛い方ね。私もΩの身なので気軽に何でも聞いてくださいね、仲良くしてくださると嬉しいです。」 「こちらこそ。ぜひ仲良くして下さい。」 テンパっていた陽茜が普段のテンションに戻ってきたタイミングでリビングへと通された。良くこちらの事を見ている。感心して咲良子さんの事を見ているとそれが伝わったのか 「職業病なんです。」 と、少し申し訳なさそうに言われてしまった。 「いえ、素晴らしいと思いますよ。俺も陽茜も不器用なのでいつもぶつかってばかりです。貴女のように自然と相手に合わせる事が出来たならそれも減るんでしょうが、生涯を誓ったパートナーとはいえ中々難しくて。」 「相手の性格、普段の行動や思考のパターン、癖など判断する材料はいくらでもあります。大事なのはいつでも相手を1番に思い、相手が気持ちよく過ごせる事を1番に考えることです。そうすれば自然と言い方、接し方にそれが表れてきますよ。」 それは、人間関係全てに当てはまるアドバイスだった。相手を第一に考える、相手の嫌がるであろうことをしない。当たり前過ぎて逆に普段そこまで意識しない人として当たり前の事を俺はこの時改めて認識させられたのだった。 「あの、いつも捉えどころのない飄々とした兄が貴女を1番に愛する訳が分かりましたよ。」 仕事場の人間関係、問題、ストレスの元は俺より多いであろう兄。こんなに自分を気遣ってくれる、気負わなくていい、そしてどこまでも健気な人に出会ったらきっと一目惚れだったんではないだろうか。

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