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第4話

バスルームの中では二人に降り注ぐシャワーの音と、グチュグチュという湿った音と、杉元の小さな呻き声がしている。 杉元はというと、壁に手を付き尾形に向かって尻を突き出している。 尾形の片手はボディソープで塗れていて、中指を杉元の蕾の中で動かしていた。 尾形が指を動かしながら、「こうやって毎回中を奇麗にしとけ、分かったか?」と訊く。 杉元は「…わ、わかった…」と震える声で答える。 すると何の前触れもなく尾形の指が抜かれ、杉元の身体から力が抜けた瞬間、二本の指が奥まで突っ込まれ杉元は「アアッ…」と声を上げ仰け反る。 すると思い切りバチンと尻を叩かれた。 「杉元佐一ィ、誰が体勢を変えて良いっ言った? オラ、頭を下げろ。 尻を突き出すんだよ」 杉元は直ぐに体勢を戻す。 叩かれた尻がじんじんと痛い。 けれどそんな事は、尾形が蕾の中のある部分を擦ったせいで杉元の頭から吹き飛んだ。 快感が背筋を駆け抜ける。 杉元は「…ヒッ…」と甲高い声を出すと、身体を震わせた。 尾形がニヤリと笑う。 指の動きは止めずに。 「杉元ォ、ここが前立腺っつってな男でも感じる場所。 俺に会う前は必ずケツを解しとけ。 ついでにここを弄れば気持ち良くできるぜ? 一石二鳥だろ?」 「…わか、わかっ…た…っ…」 「じゃあ本格的に解すか。 処女だけあって硬ぇ」 クックックッという尾形の低い笑い声。 杉元はもう何も考えられなかった。 違和感しか無かった尾形の指は、今や確実に杉元の感じる場所を攻めながら、蕾を拡げていく。 杉元の口からは自分でも知らなかった喘ぎ声が自然と漏れてしまう。 尾形の指が3本に増えたことにも気付かず、杉元は尾形の指を追う様に尻を振り、雄が緩く勃ち上がる。 尾形が杉元の中の3本の指をバラバラと動かしながら、また片手で思い切り杉元の尻をバチンと叩く。 「…ッ…!」 「何、勝手に感じてやがるんだよ。 この淫乱が。 お前処女って嘘じゃねぇのか? 解し方は分かったのかよ?」 「…わか、わか…っ…た…」 「よーし。 良い子だなあ、杉元よお」 すると尾形が突然後ろから杉元の雄の根元をギュッと掴んだ。 「……!」 ヒュッと息を飲む杉元に尾形が冷たく言い放つ。 「杉元ォ、いいか、俺が出しても良いっつーまで絶対に出すな。 処女だかどうだかは怪しいが、童貞は嘘じゃねぇみたいだな。 こんな子供みてぇなピンク色のチンポしてんだから。 健気に勃たせてかわいいなあ、オイ。 そんなに俺の指は気持ち良かったか?」 杉元は唇を噛んで答えない。 それは『答えない』のでは無く、『答えられない』のだと尾形は知っていてる癖に、「返事はどうした!?杉元ォ!」と怒鳴ると杉元の雄を激しく扱き出した。 杉元は前と後ろの刺激に身体をブルブル震わせながら、必死で「おが、たっ…やめ…っ…出る…ああっ…」と弱々しく訴える。 尾形は攻める手を緩めるどころか一層激しく動かす。 杉元が涙声で「ダメッ…でる…でる、からぁ…はなせっ…」と言おうがお構い無しだ。 そして杉元が「むりっ、でる…ッ…!」と言った時だった。 尾形が杉元の雄からパッと手を離した。 蕾から指も抜かれる。 杉元がホッと息を吐いた瞬間だった。 一気に蕾に3本の指が奥まで差し込まれ、杉元の感じる場所をゴリッと擦った。 杉元は「アアーッ」と声を上げると白濁を散らした。 杉元がズルズルと壁伝いに崩れ落ちると、尾形は杉元の蕾から素早く指を抜き、杉元を仰向けに寝かせた。 杉元は瞳を閉じてぐったりしている。 尾形は杉元を見下ろし、杉元の雄を踏み付ける。 杉元が瞳を開ける。 涙がポロリと零れて落ちる。 尾形は無表情で踏み付けている足に力を入れる。 「約束を破ったな。 俺の命令には絶対服従。 今夜これをクリア出来たらセフレへ昇格。 出来なかったら玩具で終わり。 覚えてるか?」 杉元がコクンと頷く。 「お前は絶対に出すなという俺の命令を破った。 だからこれで終わりだ。 玩具としてはまあまあ楽しかったぜ」 尾形はそう言うと杉元の雄から足を外して、杉元に背を向ける。 「…メェの…」 杉元の呟き。 「あ?」 尾形が顔だけ振り返る。 杉元が上半身を起こし、「テメェのせいだろ!クソ尾形!」と怒鳴る。 ポロポロと涙を零しながら。 尾形は薄ら笑いを浮かべると身体ごと振り返った。 「俺のせい? テメェが淫乱だからだろうが。 ケツに指突っ込まれただけでイってんだから」 「…でもっ…それは…!」 「まさかお前まだ俺のセフレになりてぇのかよ?」 尾形を睨み付けながら、杉元がまたコクンと頷く。 尾形がわざとらしくフーッと深く息を吐くと、髪をかき上げる。 「お前は言葉じゃ約束は守れんようだから、行動で約束して貰おうか?」 「…何をすればいい…?」 杉元が手の甲で乱暴に頬を伝う涙を拭く。 そんな杉元を見下ろしながら、尾形がにっこり笑う。 「俺の足の指10本にキスしろ。 終わったら、今夜は絶対服従を約束しますって言え。 出来るか?」 杉元が「出来る」と即答して、這うように尾形の元にやって来ると、何の躊躇いも見せず尾形の右足の小指にキスをする。 そしてあっと言う間に尾形の足の指全てにキスをすると、尾形を真っ直ぐ見上げて「今夜は絶対服従を約束します」と言った。 尾形は「ハハァ!」と笑うと、杉元の髪をグイッと掴む。 杉元が顔を顰めながら膝立ちになる。 尾形の楽しくて堪らないといった声が杉元の頭上に降ってくる。 「最高だぜ、お前。 それじゃあベッドで証明してもらおうか」 二人はざっと身体を拭くと雪崩れ込むようにベッドに入った。 杉元が尾形に横になれと言われてベッドに仰向けに寝そべると、尾形は『約束』を切り出した。 前提は勿論尾形に絶対服従だが、特に『自分の性器を触らないこと』、『勝手に射精をしないこと』を守るようにと尾形は言った。 杉元は今迄と同じ、「分かった」と素直に了承した。 尾形はまず杉元に足を目一杯M字に開き両手で左右それぞれの足を支えろと命じた。 杉元は真っ赤になっていたが、尾形に言われた通り足を開き、太腿の裏を手で支えた。 尾形は杉元の腰の下に枕を差し込むと杉元に覆い被さった。 首筋から鎖骨へとキスを雨を降らせながら、杉元の淡いピンク色の乳首を捻ると、杉元が「…あっ…」と甘い声を出した。 「杉元ォ、お前乳首感じんのか?」 意地悪く言う尾形に杉元は瞼を伏せると、「…分からねぇ…だってそんなことされたの初めてだし…」とボソボソと答える。 尾形は「ふーん」と素っ気なく言うといきなり杉元の乳首に吸い付いた。 杉元が「ひゃあ…ッ…」と声を上げる。 尾形は杉元の乳首を吸っては舌で転がし、果てはコリコリと噛んだ。 杉元は最初のうちは声を我慢していたが、尾形がぽってりと赤くなるまでしつこく攻めると「…あっ…あっ…だめ…へんっ、なる…」と喘ぎ出し腰を揺らし始めた。 尾形もそれに合わせて腰を揺らし、杉元のペニスと自分のペニスを擦り合わせるようにすると、尾形のペニスは直ぐに勃ったし、杉元のペニスも勃ち上がった。 尾形がわざとジュウッ音を立てキツく乳首を吸い、顔を上げる。 杉元はぎゅっと目を閉じていたが、目尻が赤く染まっていた。 尾形は杉元の首からペニスまでを人差し指でツーッとなぞった。 杉元の肌はしっとりとしていて滑らかだ。 そして尾形は自分のペニスにゴムを着け、たっぷりローションを塗る。 そうして杉元の蕾にローションを垂らす。 杉元がビクッと身体を震わす。 ローションが冷たかったかと尾形は思ったが、どうでも良い。 兎に角、猛る自身を杉元にぶち込みたい。 尾形はその思い通り杉元の蕾に自身を突き入れた。 それから尾形は一切容赦せず、杉元を蹂躪し続けた。 尾形が杉元の感じる場所を目掛けてガンガン突き続ける続けると、それまで声を押し殺していた杉元は、M字に開いた足を支えながら「ああっ、おがたっ…はげし…ぃッ…」と喘ぎだした。 尾形が杉元の最奥を突く。 杉元が「アアッ…!」と叫び仰け反る。 尾形は杉元の蕾の中が自分のペニスの形にピッタリ合うことに、なんてラッキーなのかと思わず笑い出しそうになった。 杉元ほど自分の身体に合うやつに出会ったことが無い。 それに杉元の中は具合が良い。 キュウキュウと尾形を締め付け、うねって絡み付いてくる。 尾形が夢中で穿っていると、杉元のか細い声がした。 「お、おがた…も、でる…」 「まだだ。 もうちょっと我慢しろ」 「で、できない…おがた…おねがい…」 尾形は舌打ちすると杉元のペニスに触れた。 ピンク掛かったペニスは赤く染まり、鈴口からはプクリプクリと蜜が溢れている。 尾形は「チッ」とまた舌打ちすると、こんなこともあろうかとベッドに置いておいたネクタイを掴んだ。 そうして杉元のペニスの根元をぐるぐる巻に縛った。 最後にぎゅっと力を込めて。 「…お、おがた…?」 杉元はとろんとした瞳を不思議そうに見開いている。 尾形がニヤッと笑う。 「どうした? お前の我慢がきかねーから親切だよ。 好きなだけイけ」 「でもっ…これじゃ…」 「ごちゃごちゃうるせぇ!」 そうして尾形はピストンを再開した。 尾形は自分に限界が来ると達した。 杉元がドライでイき続けていたのは分かっていたが、気にもしていなかった。 杉元は瞳を見開いたまま、放心してピクピクと身体を震わせている。 顔は涙でぐちゃぐちゃだ。 尾形はまあそんなモンだろうな、としか思わなかった。 尾形は杉元から自身を抜くとゴムを丸めて捨て、冷蔵庫から500ミリリットルのペットボトルのミネラルウォーターを二本取り出した。 一本を立ったまま飲み干すと、杉元の枕元に行く。 「杉元、もう足を閉じていいぞ」 尾形の声に杉元がゆっくりと開いた足から手を離す。 だが身体が動かないのか、足はほんの少し閉じただけだ。 尾形がペットボトルを杉元の頬にペチペチと当てる。 「杉元、喉乾いただろ? 水飲め」 「…ん…」 尾形がペットボトルのキャップを開けて杉元の口に持って行くと、杉元はゴクゴクとミネラルウォーターを飲む。 杉元がペットボトルを持ったので、尾形が手を離すと、杉元がたどたどしく言った。 「おがた…ネクタイ…取って…くるしい…」 尾形はキョトンと杉元の顔を見ると、あははと笑い出した。 「…おがた…?」 「なに言ってんだ、お前」 「…だから…くるしい…出したい…」 「お前さあ、出さずにイきまくってたんだぞ? さぞかし気持ち良かったんだろうなあ」 「…でも…くるしい…出したい…」 「分かってねぇなあ」 尾形はニィと笑うと、杉元が中身を残したペットボトルを杉元の手から奪った。 そしてペットボトルを真っ逆さまにすると、杉元の頭から水を掛ける。 「お前は今夜はドライでメスイキしてりゃ良いんだよ。 まあ、俺も鬼じゃないぜ? 最後には出させてやるから。 おら、今度はバックだ。 後ろ向け」 杉元がポタポタと髪から水を垂らしながら、ノロノロとうつ伏せになる。 尾形が後ろに周り、バチンと杉元の尻を叩く。 「尻、上げろ」 杉元がゆっくりと尻を上げる。 尾形は自身にゴムをして自身と杉元の蕾にローションを垂らすと、杉元の尻の割れ目に勃ち上がった雄をスリスリと擦り付ける。 「お前の身体エロ過ぎて勃ちっぱなしなんだわ」 「…そうかよ…」 尾形が前に手を回し杉元の雄を掴んで扱き出す。 出せていない雄は勃ってはいるが、状況や精神的に萎えるからだ。 杉元は口では「いやだっ…苦しい…ッ…」と言っているが、尾形の巧みな指使いにみるみる完勃ちになる。 尾形は満足気に杉元の柔らかい尻をガッチリ掴み、「行くぞ」と言うやいなや雄を突き入れた。 尾形はどストライクのルックスと身体の相性まで良い、最高に都合の良いセフレを手に入れた満足感と高揚感とセックスに溺れていた。 だから気付いていなかった。 これから続く夜が『全て』を決めてしまうことを。

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