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第2話 肇
都筑と部屋を分ける話をしてたら、都筑が出ていってしまった。分かってる。行き先はいつもの公園。都筑が、そんなにショックうけると思わなかったんだ。
僕の可愛い弟、都筑。にっこり僕にだけ向けてくれる、あの笑顔。それが見たくてついつい、僕はお兄ちゃんだからね、って言ってしまう。都筑を守って、都筑に頼ってもらいたかった。たった1人の可愛い弟だから。
でも最近、都筑の笑顔にドキっとする。ずっと見てきた顔なのに。二卵性だから多少の違いはあるものの、双子なのに。
「肇大好き」って言ってくれる時も。またその言葉がほしくて、何か手伝える事はないか探してしまう。でも、僕からは大好きって言ってあげた事はないんだ。なんか、簡単に言えなくて。
都筑が外に出てから、頃合いを見計らって公園に迎えに行った。都筑はブランコに座って空を見上げてた。
「都筑、一緒に帰ろう」
「肇……なんで部屋別にしたいって言い出したの?俺の事嫌いになったの?肇に頼りすぎてた?もうちょっと頑張ってしっかりするから、そんな事言わないでよ」
キレイな瞳が光ってる。泣くの堪えてるんだ。
「嫌いになるわけないよ。都筑は今までもこれからずっと、僕の可愛い弟なのは変わらないんだから」
「…なら、一緒のままでいいじゃん…」
「もう、お互いお母さんに近いくらい背も伸びたんだから、部屋一緒じゃ狭いでしょ?」
「狭くてもいい…」
「それにほら、プライバシーもあるでしょ?」
「プライマリー?」
「プライバシー。とにかく、もう別々にして普通なんだよ。都筑が眠れない時は来ていいんだし、僕も行くから」
それからちょっと強引に都筑の手を引いて、週末には別の部屋になった。これで良かったんだ。そう、弟離れしなきゃならないのは、僕の方なんだよ…
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