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第6話 肇からもしてよ

 金曜夜。 「肇~、今日は一緒に寝る日だよね?」「えっ、僕考えとくって言っただけだよ」 「じゃぁ俺泣くから。泣いたら肇が気がついて来てくれるんでしょ」 弟ってこれだから…。いや、僕も悪いんだよね。一番甘やかしてきたのは僕なんだから。 でもさ、もう都筑の寝顔が隣にあったら、落ち着いていられないんだよ。ねぇ都筑、そんな兄は気持ち悪いでしょ?  結局押しきられる僕。シングルベッドに二人で転がる。狭いな。 「ねぇ肇、肇って、好きな子とかいるの?」 今日は泣いてないからか、話したくてしょうがないみたいな、うずうずしてる都筑。 「あー、そんな話した事なかったね」 なかったっていうか、避けてきたんだよ、僕が。都筑の好きな子とか聞きたくないからね。そんな話しないでよ。 「俺はね~、肇がいればいいんだ。それで肇は?いるの?いないの?」 僕がいればいい?今って、彼女にしたいとかそんな意味の好きな子の話してるんだよね?その話で僕がいればいいって、都筑おかしくない? 「ね~ね~肇聞いてる?俺は肇がいいんだってば。肇は?」 「僕は…好きな子は、いないよ」 「ふ~ん。じゃぁこないだ、誰の事考えてエッチな事してたの?都筑って聞こえたのは俺の気のせい?」 血の気が引くってこの事だと思った。自分の顔が青くなってるんじゃないか。そんな気までしてくる。  「ねぇ肇答えてよ。都筑って聞こえたの俺の聞き間違えなの?」 「ごっ、、ごめん、都筑ごめん」 「なんで謝るの?」 「だって、僕気持ち悪い……異常だよ…双子の弟にそんな感情もって…」 「謝らないでよ。俺、嬉しいんだから。肇に嫌われてたどころか、好かれてるんでしょ?」 「そう、だけど…兄弟の好きじゃなさそうなんだよ?」 「いいんだってば。俺もこないだキスしたでしょ。肇からも、頬じゃなくて口にしてよ」 本当に?都筑は、それで嬉しいって言ってくれるの?最後の確認。聞かなきゃと思って都筑の方を向くと、一瞬、僕と目を合わせてから目を瞑って待ってる都筑。あり得ない、考えないようにしてた。でも確かにしたかった事。震えそうになる自分を抑えて、都筑の唇に、自分のそれを、そっと重ね合わせた。  その瞬間、僕たちは開けちゃいけない扉を開いたんだ。

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