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第8話 破られた均衡

 都筑が望む通りの事をしてしまった…。キスまでなら、まだ、双子の戯れで済んだかもしれない。でも、僕の手で、あんなに気持ち良さそうに可愛くなる都筑を見てしまっては、その先に進みたくなる気持ちが強くなってきている。でも、男同士って、どうやるんだろ…。  今日も親が帰る前にと二人で触れあう時間。 「肇~、気持ち良かった~」 「うん」 「俺ね、調べたんだよ!男同士でエッチするにはお尻の穴使うんだって!」 エライ?誉めてよとばかりに近づいてくる都筑が一瞬尻尾を振ってる犬みたいに見えた。可愛いな。で、お尻の穴?正直都筑がそこまで調べてるなんて、思いもしなかった…都筑の方が、もうとっくにそういう関係になる覚悟が出来てたってことなのか…… 「肇聞いてる?」 「ごめん、聞いてるよ」 「見て、この画像。こんな風にするみたい。でね、最初はワセリンと痔のお薬混ぜて、お尻の穴柔らかくするんだって」 「えっ?誰の?」 「えっ?俺の」  都筑を甘やかしたい。キスしたい。僕の手で可愛くしたい。他の人に触られたくない。こんな想いは募っていくばかりだったけど、まさか都筑のお尻に自分の、その、あれを入れるとか、そこまでリアルな事は想像してなかった…… 「都筑、お尻弄られるの平気なの?」 「そんなのやった事ないから分かんないけど、肇にしてもらうなら、きっと大丈夫」 「そっか…」 「ねっ、だから明日の帰り、ドラッグストアで痔のお薬とワセリン買ってみよーよ」 「なんかそれ怪しくない?」 「怪しいって思ってたら怪しいかもしれないし、普通にしてれば、ただのお使いの子供に見えるんじゃない?」  そう、都筑が言った通りだった。お店の人は僕らが何を買おうと、別に気にしてないいつも通りの対応。 僕は一瞬、ほんとに一瞬だけど、なけなしの小遣いで何を買ってるんだろう…っていう気持ちにもなった。事を急ぎすぎてるんじゃないかっていう不安も、あったのかもしれない………。兄として止めておくべきだったのかもしれない。 「肇、じゃぁ早速だけどパンツ脱ぐね」 「都筑はほんとにいいの?怖くないの?」 「うん。だって、肇とキスだけじゃなくて、もっと色々エッチなことしてみたいから……」 パンツは勢いよく脱いだのに、言うのは恥ずかしいみたいで、耳を澄ましてないと聞こえないくらいの声だった。  ワセリンを掌に出して、痔のお薬もそこに出し混ぜていく。右手人差し指にそれを取り、都筑の肛門の周りにまず塗ってみた。まだ決心がつかないうちにップっと指先だけ少し入ってしまった。 「ひゃぁっ!」 「ゴメン!都筑大丈夫?」 「肇~、やっぱりちょっと怖いから、指より細い………そこの綿棒から始めたらどうかな…」 「確かに綿棒の方が細いよね。待ってて」 もう一度痔の薬とワセリンを、今度は綿棒に塗る。話しかけてた方が気が紛れるかもしれない。 「都筑、あのさぁもうすぐ夏休みじゃない?」 ツぅ… 「うん。うん?肇、綿棒入ってきてるよね」 「うん。話しかけた方が力抜けるかなと思ったんだけど…。どう?痛くない?」 「う~ん、大丈夫」 「ちょっと動かしてみるよ?」 「うん。う~~~、肇~、腰に掴まらせて~」 ズリズリ寄ってきて、横向きでガッチリ腰回りに腕を回された……これ、僕の為に頑張ってるんだよね…可愛すぎるんだけど……  「都筑大丈夫?やめる?」 「ん~~、お尻気持ち悪いけどやめたらやだ」 「息はしてるの?呼吸とめたら苦しいよ」 「はぁ、はぁ。うん、息とめてたら、お尻にだけ意識がいってた。ふぅ。……肇、肇」 「どうしたの?なんか変?」 「へへっ、言ってみただけ。……少しへーきになってきたよ」 「じゃぁ今日このくらいにしとこっか」 「ヤダ。まだがんばるから、肇の指ももう一回入れてみてよ」 「う~ん、大丈夫かなぁ?無理しなくていいんだよ?」 「大丈夫だってば」 まだ指もべたべたするけど、もうちょっとワセリンを足しておく。 「肇まぁだ?」 下から都筑が見上げてくる。 「今入れてみるから、また息とめちゃダメだよ」 「スーハー、スーハー」 「何の呼吸法だよ」 笑いながらお尻の穴に指を入れると、最初よりスムーズに入った。 「むーーーーー、んーーー」 僕のお腹に顔押しつけてるから、変な声しか出ないんだ。 「痛くない?」 こくこく。頷いてる。指キツいな~。本当にこんな所にちんちんなんて入るのかなぁ。ちょっと拡げるように指を回してみる。 「ん〰️〰️〰️」 お腹に顔を擦りつけて呻いてる都筑が可愛い。僕の指、都筑より少し短めなんだよね。恐る恐る目一杯まで押し込んでみると、びくっと身体が動いた。 「わっ、ゴメンね都筑痛かったの?」 「んんう~、違う、なんか変なんだよ~」 「変?」 「なんか、ビリビリってしたんだよ~」 「う~ん?もうすぐお母さんも帰ってくる時間だし、今日はこの辺でもうやめとこうね」 「うん…。肇チューして」 「んっ」 いつも通り、触れるくらいだったはずのキスは、都筑に唇を舐められて終わった。ビックリする僕の目の前には、いたずらっ子みたいな顔で笑う都筑がいたんだ。

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