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第12話 壊れた時計

 あの日…結局都筑も泣き出して、2人して沢山泣きましたって顔してたから、帰ってきたお母さんが心配してた。どうにか2人で誤魔化したけど。  で、夜話し合ったんだ。2人で一緒にいられるうちは幸せにいようって結論。そんな結論出しても、お互い悩むのは目に見えてるけどね。今の幸せを大事にしよう。そんな約束しといてもいいよね。  受験もあるから、エッチな事する回数は減らして、勉強も頑張ってるよ。でもやっぱり一度知ってしまった都筑の味。たまに欲しくなる時もあるんだ。都筑もそうみたい。 今日はそのタイミングがあったみたいなんだ。 「肇……もっと…」  「もっと、なぁに?」 「もっと、肇の、ほしいな……」 震えるような小声。1度射精した後で、くたっとしてたちんちんだったけど、そんな事都筑が言い出したらたちまち復活した。いつも1回終わったらお仕舞い、後処理開始な僕らの行為が2回目に入ってしまった。 「はぁっ、んぁつ、肇、すき、すき」 「僕もだよ、都筑」 「やぁっ、そこダメ!」 「このへん?」 「ダメだって!」 逃げようとする都筑の腰を捕まえて、多分気持ちいいんだろう場所を攻める。 「はじめっ、変だってば!あっ、あっ、あっ…」 「都筑きもちぃ?」 開きっぱなしの口は喘いだままで、首を縦に振る都筑。 「都筑きもちいいの?こくこくじゃ分かんないよ?」 「…きもちぃっ、いじわるっ」 「かわいいね、都筑」 「やっ、あっ、でちゃ……」 お尻の穴がキュっと閉まって、僕も果てた。そのまま都筑に倒れこむ。自分の心臓の音がうるさい。都筑の呼吸も荒くて、胸が上下してる。聞こえるのは二人の息遣いと心臓の音。  幸せな気持ちと射精感に支配されてた僕達は、大きな失敗をしてたんだ。 「肇…、都筑…、あななたち……」 「「えっ、お母さ、ん…」」  そこからの事は、正直記憶が定かじゃないんだ…ただ、母親が泣いてた、都筑も泣いてた。僕は…分からない。どうしてたんだろう…。  決まった事といえば、僕が全寮制の高校に行く事になった事。今の僕の学力レベルでは少し届かないかもしれないから、僕だけ塾通いすることになった事。  僕の部屋の時計が、止まってたんだ…。 そんな事いつもなら気がつくのに、あの日に限って、時計が止まってたこと気づけなかった…。お母さんが帰ってくる時間。いつも2人して気にしてたはずなのにね…。

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